新型コロナで「甚大な被害」日産自動車を襲う「ゴーン・ショック」第2波の正体
新型コロナ・ショックで、経営にひときわ大きな打撃を受けているのが日産自動車だ。同社の世界生産の約20%が中国で、ウイルス発生地の湖北省には現地合弁の東風日産の工場が二つもある。日産の株価は3月16日時点で360円台と自動車大手の中でも際立った低水準にある。
日産株の低迷は、海外に逃亡しているカルロス・ゴーン前会長の不正報酬問題など、同社幹部による一連の不祥事も尾を引いているが、自動車業界に詳しいアナリストは「むしろ日産の株主の中には“ゴーン・シンパ”が意外に多く、特に保有額1000万円を超えるような投資家に『ゴーン氏が去ってから株を手放した』という人が相当数いる」と指摘する。
日産株は高配当で人気があり、配当利回りは2019年3月期末時点で6・28%と現在の低金利の中にあっては魅力的だった。実は、11年ごろから配当利回りを急激に引き上げてきたのがほかならぬゴーン氏で、「高配当は報酬額などをめぐる株主からの批判を封じ込めるための“アメ”だった」(同)。
しかし、日産は2月13日、20年3月期末配当をゼロとし、年間配当を前期比47円減の10円にすると発表した。従来、個人投資家の買いで下値が支えられてきた日産株。買い手不在と新型肺炎の影響で、いまだ大底は見えない。
(本誌〈日産株で高配当消滅 “ゴーン・シンパ”が見放す〉)