【週刊エコノミスト創刊100年キャンペーン実施中】いまなら週刊エコノミストオンラインをお申し込みから3カ月間無料でお読みいただけます!

経済・企業コロナデフレの恐怖

コロナ後の今、日本企業は目先の利益よりも社会的使命を重視すべき=柳井正(ファーストリテイリング会長兼社長)

 新型コロナウイルスは、当社の業績にも影響を与えている。最初に感染が広がった中国では、当社は今年1月末から店舗を閉め始め、最大395店舗(中国全体で747店舗。4月末現在)を臨時休業にした。その結果、2月単月の既存店売上高は約8割減収だった。ただ、中国の当社経営陣の迅速で適切な対応で、現在は売り上げが回復している。また、臨時休業をした欧州や米国でも、徐々に店舗が再開しつつある。感染防止策を徹底しながら、全世界で店舗での営業を再開したいと考えている。

 今後は「コロナウイルスとともにどう生きるか」を考えなくてはならない。経済活動を維持し、私たちの生活を立て直しながら、いかに一人ひとりの健康も守るか、それが問われている。

 企業は感染拡大を徹底的に防ぎながら、ビジネスを続けるためにもっと知恵を絞るべきだ。ビジネスが続けられず、経済が落ち込めば、社会全体がだめになる。危機が過ぎ去るのをただ待つのではなく、いま直面しているこの危機を乗り越えるために、企業がどうするべきかを本気で考えなくてはならない。今回の事態は、深刻な社会的・経済的危機であり、これを機に使命感を持って社会に役立つ企業になるにはどうすればよいか、私たちを含めそれぞれの企業が突き付けられている。

グローバル化の否定は危険

 コロナウイルス終息後の世界を予測するのは非常に難しいが、ビジネスのグローバル化は避けられない流れだ。これからもさらに進んでいく。私たちはこれからも、事業のグローバル化を続けていく。今回のことで世界がひとつにつながっていることがより明確になった一方で、それを否定しようとする動きがあるのも事実だ。ただ、そうなると、自国や自社、自分だけを考え、目先の利益ばかりを追いかける分断した世界になる。それは非常に危険なことだ。これからも顧客に求めやすい価格で商品を提供できるよう、重要なパートナーである取引先工場と協力し最善を尽くしていく。

 今回を機に、人々の生活様式が大きく変わってきていることを感じている。直近では、リモートワーク(在宅勤務)をする人々の増加を受け、これまでよりもさらに快適な服に関心が集まりつつある。このような変化をビジネスチャンスととらえ、こうしたチャンスの芽を、これからも長期的な視野で発見し、私たちの服の企画・生産・販売に生かしていきたい。

(柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長)

(構成=桑子かつ代・編集部)

(本誌初出 トップに聞く「コロナ後の世界」 柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長 事業継続へ企業は知恵を絞れ 2020・6・16)

インタビュー

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月11日号

止まらない円安 24年ぶり介入第1部 市場の攻防15 亡国の円買い介入 財政破綻を早める ■編集部17 1ドル=70円台はもうない ■篠原 尚之 ドル高が揺さぶる「国際金融」 ■長谷川 克之18 円安 これから本格化する内外金利差の円売り ■唐鎌 大輔20 国力低下 米国の強力な利上げはまだ続く 円 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事