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テクノロジー挑戦者2020

山崎敦義 TBM代表 石灰石で紙・プラの代替素材

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

 石灰石を紙やプラスチックの代わりとして使う素材を開発した。目標とするのは世界で当たり前に使われる素材だ。

(聞き手=藤枝克治・本誌編集長、構成=白鳥達哉・編集部)(挑戦者2020)

 紙やプラスチックの代わりとなる新素材「LIMEX(ライメックス)」を開発し、これを使った名刺や買い物袋などの製品を提供しています。

 ライメックスの大きな特徴は、製法に木や水、石油由来の資源をほぼ必要としない点です。ライメックスは世界各地に豊富にある石灰石を主原料としていて、安価な資源の一つ。そのため、水や木の資源に乏しい国でも生産が可能になります。

 また、環境保護の面でも優れています。特にプラスチックは昨今では「脱プラ」が叫ばれていますが、石油の使用量を抑えることで、二酸化炭素の削減につなげることができます。ライメックスは現在、名刺やランチボックス、買い物袋などの素材として販売していて、名刺は100枚で約1400~1700円と紙の名刺と大きく変わらない価格です。

吉野家のメニュー表にも

配合と製法次第でさまざまな製品が作れる
配合と製法次第でさまざまな製品が作れる

 勉強に対して夢中になれず、中学卒業後は大工見習いになりました。でも、現場では将来に対して夢のある話をする人は少なく、20歳の時に中古自動車の販売店を起業して、がむしゃらに働きました。地元では名の知れた中古車販売店に成長したのですが、一緒に起業した仲間は会社を成長させるという意識を持てない人も多く、会社の経営権を譲って別の道を模索することにしました。

 ある時、知人から石灰石で作った紙のような「ストーンペーパー」があることを教えてもらい、製造元の台湾の企業に交渉して日本での輸入元として事業をスタート。多くの企業が興味を示してくれたのですが、価格の高さなどもあってなかなか売れませんでした。品質改善を要望しても前向きに検討してもらえない状況が続き、それならば自分で石灰石を使った素材を新しく作ってしまおうと立ち上げたのが今の会社です。

 技術者を知人から紹介してもらい、製造拠点も他の企業から借りる形で、サンプルができるまで数年かかりました。石灰石に混ぜる熱可塑性樹脂(加熱すると柔らかくなる樹脂)の種類や比率などを工夫し、シート状に引き延ばしたうえで印刷も可能なように塗工剤をコーティングして作ったのが、紙代替の素材となる「LIMEXシート」です。その後、レジ袋や食品容器などに使える成形の容易なプラスチックの代替素材「LIMEXペレット」の開発にも成功しました。

 現在は日本で5000を超える企業に導入され、企業の名刺はもちろん、吉野家やスシローのメニュー表などにもライメックスが使われています。海外からも500を超える企業から問い合わせが来ています。リサイクル性にも優れていて、紙の代替素材として使われたライメックスを、プラスチックの代替素材に生まれ変わらせたり、燃料として利用することも可能です。

 現在はスマートフォンのケースなど新たな用途の開発を進めているところです。ライメックスの利点を多くの人に知ってもらい、世界で当たり前に使われる素材にしたいと思っています。


企業概要

事業内容:新素材製品の開発、製造、販売

本社所在地:東京都中央区

設立:2011年8月

資本金:108億6480万円(資本準備金を含む)

従業員数:160人(20年5月現在)


 ■人物略歴

やまさき・のぶよし

 1973年11月生まれ、大阪府岸和田市出身。中学卒業後に大工見習いを経て、20歳で中古車販売業を起業。2008年ストーンペーパーの輸入事業を始め、11年TBMを設立。46歳。

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