太田靖宏 スタジアム代表取締役 技術で作り出す新時代の面接
インターネットを介していつでもどこでも面接を可能にするだけでなく、面接技術の向上にもつながるサービスを開発した。
(聞き手=藤枝克治・本誌編集長、構成=吉脇丈志・編集部)
企業向けにウェブ面接システム「インタビューメーカ-」を2016年から提供しています。応募者がインターネットを介してどこからでも面接を受けられるだけでなく、面接の質を高めるため面接自体を評価できる機能を付けていることが大きな特徴。今年7月時点でインタビューメーカーは約2800社で導入されています。
面接では通常、面接官が応募者と個室内で1対1で話をするため、面接官自身は他の人から評価されません。しかし、面接官のスキルが低いと、優秀な人材を適切に評価できず、採用を逃してしまうこともあります。インタビューメーカーには録画機能があり、みんなで録画を見ながら面接を評価することで、優秀な人材の取りこぼしをなくすことにつなげられます。
大手企業で大変なのは面接のスケジュール調整で、新卒採用では応募が1万人規模になります。インタビューメーカーでは、あらかじめ面接官が空いている日時を登録しておき、応募者が応募と同時に空いている日程を予約できる「日程調整機能」を付加することもできます。
録画機能があるウェブ面接の「ベーシックプラン」は年間契約で35万7600円(初期費用別)、日程調整機能などを付加した「プレミアムプラン」は179万7600円(同)。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、対面に代わってオンライン面接の需要は急激に伸びており、インタビューメーカーでの面接件数は今年5月、コロナ禍前の今年1月の20倍になりました。今年1月からは、AI(人工知能)を使った面接官の研修ツール「imトレーナー」のサービスも始めています。(挑戦者2020)
東南アジアに注力
24歳の時にリクルートに入社し、無料クーポン冊子『ホットペッパー』静岡・神奈川・品川版の立ち上げに関わりました。無料クーポンを発行してもらうため飲食店などへ飛び込み営業して回りましたが、将来は起業したかったのでマネジメントのノウハウなどを学ぼうと修業のつもりで働きました。
10年ほどリクルートで勤めた後、12年に自分の会社を設立して独立。リクルート時代の営業ノウハウを生かした営業代行業務で少しずつ収益が上がっていきました。事業を拡大するため、14年春に営業メンバー65人を新規採用しようとして、大きな壁に当たった経験がウェブ面接システムの開発につながりました。
この時、1次面接したのは約800人。求人広告を出して面接会場に呼び、日程調整をして次の面接の案内をする一連の作業をこなすのに約2カ月半、1日も休まずに対応しました。採用の仕組みが一切進化していないことを痛感し、16年にウェブ面接を事業化しようと考えました。
今後は東南アジア向けに事業を伸ばしていきたいと考えています。日本で働きたい東南アジアの優秀な人材はたくさんいます。日本は人手不足と言われる一方、外国人労働力は余っているため、双方を面接によってつなげて課題を解決したいと思っています。
企業概要
事業内容:採用特化型オンライン面接システム「インタビューメーカー」の開発、営業アウトソーシング
本社所在地:東京都港区
設立:2012年8月
資本金:14億232万円(準備金含む)
従業員数:193人(20年6月時点)
■人物略歴
おおた・やすひろ
1977年大阪府出身。早稲田摂陵高等学校卒業。98年大阪学院大学中退後、2001年リクルート入社。ホットペッパーエリア版編集長などを経て独立し、12年にライフノート(現スタジアム)設立。