経済・企業話題の記事

消費増税の打撃にコロナ禍が追い打ち……「地方百貨店が総崩れ」の深刻度

    営業が終わり、シャッターを下ろす徳島店=徳島市
    営業が終わり、シャッターを下ろす徳島店=徳島市

    百貨店の売り上げ減少や閉店が相次いでいる。

    昨年10月の消費税増税の影響に加え、大型ショッピングモールやインターネット通販業者などとの競争激化で売り上げ減少が続いていたところに、新型コロナウイルスが追い打ちを掛けた格好だ。

    高島屋、J・フロントリテイリング、そごう・西武の大手3社の2020年8月中間決算は、営業損益がそろって赤字に沈んだ。

    高島屋の営業損益は102億円の赤字(前年同期は134億円の黒字)に転落。

    21年2月期の最終(当期)損益は365億円の赤字を見込んだ。

    大丸や松坂屋を運営するJ・フロントの営業損益は206億円の赤字、最終損益は163億円の赤字だった。

    そごう・西武も36億円の赤字だ。3社の売上高は3〜4割減った。

    主な要因は、コロナの感染拡大による外出自粛などで国内消費が低迷したほか、訪日外国人(インバウンド)が大幅に減少し、免税売り上げが回復していないことなどが挙げられる。

    フロンティア・マネジメントの山手剛人マネージング・ディレクターは「百貨店は街中の大型店舗に依存度が高い。販売チャンネルのリスク分散ができておらず、コロナで店を開けられなければ総崩れとなる。例えばユニクロを展開するファーストリテイリングは、インターネット通販や駅ビル、ショッピングセンター、単独店舗などリスク分散ができている」と指摘する。J・フロントの好本達也社長も13日の記者会見で「(コロナで)インバウンドは依然厳しい。事業の縮小や撤退についての判断を早め、止血を図る」と厳しさを口にした。

    「百貨店空白県」

    百貨店の売り上げ低迷は今に始まったことではない。

    日本百貨店協会によると、百貨店の市場規模は1991年の9兆7130億円をピークに減少を続け、現在は6兆円を切っている。

    苦境は特に人口減少が顕著な地方都市で目立つ。

    1月に山形県の老舗百貨店「大沼」が破産申請し、「百貨店空白県」に。

    このほか、新潟三越や福島駅前の老舗百貨店「中合」、そごう徳島店(徳島市)などの閉店が続く事態だ。

    インターネット通販の増加や娯楽が多様化する中、街中の一等地に店舗を構える従来型の業態は厳しさを増している。

    「店舗のプライムロケーション(駅近など好立地)という付加価値が今後も維持、向上できるかの懸念が示されているのも事実。対応を誤れば企業存続の危機にも及びうる」(好本社長)

    地域のシンボルだった百貨店で、業態の変革が求められるのは必至だ。

    山手氏は「独自のインターネット通販や、三越伊勢丹が展開する地方向けのサテライト店で富裕層を獲得することも有効な施策の一つ。立地の特性を考えればオフィス、ホテルの運営などあらゆる選択肢が必要で、これまでの事業形態にこだわらない施設開発が必要ではないか」としている。

    (柳沢亮・編集部)

    (本誌初出 コロナ禍で客足途絶える 百貨店が自粛と訪日客激減で赤字 閉店相次ぎ地方は“総崩れ”=柳沢亮 20201103)

    インタビュー

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    12月8日号

    もうかるEV(電気自動車)、電池、モーター14 「電動化」が業績・株価を左右 「次の勝者」探しも活発化 ■神崎 修一/桑子 かつ代/斎藤 信世16 巨人の焦り トヨタから「自動車」が消える日 ■井上 久男18 自動車部品 日本電産が台風の目に ■遠藤 功治20 図解 EV用電池「国盗り物語」 ■編集 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事