コロナ禍で多発中?「欠陥住宅」を見抜く3つのチェックポイント
とりわけ新築住宅の売れ行きが良い。それも自由設計の注文住宅ではなく、いわゆる「建て売り」が人気だ。
そこで問題なのは、急激な需要回復の陰で現場の職人や現場監督の数が足りなくなり、建物の不具合が目立つようになったことだ。
今回は施工不備で困らないために、建て売り住宅の「チェックポイント」をお伝えしたい。
細部をチェックし、是正してもらう機会は購入時しかない。
もっと言えば、引き渡し前に指摘事項を住宅メーカーに伝えなければ、直してもらえない場合もある。
入居直後に気がついた傷も「引っ越しの際にできた傷なのでは?」と言われてしまうリスクもある。
不備の直しを確約しても「補修工事になかなか来てくれない」「残工事が延び延びでまだ終わらない」「外構工事まだなの……?」といったケースにも気をつけたい。
床下にカビの原因も
私たちは普段、床下や天井裏をのぞくことはないが、必ず確認したい場所。
床下の断熱材が脱落していることもある。天井裏で雨漏りしているかもしれない。
壁の内部は見えないが、床下や天井裏は建物を支える躯体(くたい)部分が見える数少ない箇所だ。
チェックすることで、その住宅メーカーの仕事ぶりを垣間見ることができる。
とある現場では、換気扇の周囲に白い斑点を見つけ、調べるとカビだった。
換気扇で常に床下内部の換気が必要だったが、ブレーカーがオフとなっていたために、換気できていなかったことが原因だ。
引き渡し前にカビを除去・除菌した後、無事に引き渡しされた。
こうした外から見えない空間で見つかる構造材の施工の間違いや、断熱材の取り付け忘れ、配管の水漏れといった施工不良は、耐震性の低下やカビ・シロアリを発生させるトラブルの元となる。
開かずの扉
戸などの建具は、購入時にすべて開閉してみよう。
建具は微妙なバランスの上に成り立っており、わずかなズレでも勝手に開閉してしまったり、開かなかったりするおそれもある。
玄関扉に始まり、キッチンの引き出し、物置の扉に至るまで、すべて開閉してチェック。
場合によっては、その場で修繕を依頼することも考えよう。
排水管が外れ水浸し
ウソのような話だが、さくら事務所のホームインスペクション(住宅診断)の経験で、水道の蛇口をひねると、排水管が外れていて床や床下が水浸しになった事例も少なくない。
引き渡し前の段階では水道やガスが使えないこともあり、引き渡し前のチェックができない場合もある。
風呂で湯張りができなかった、台所でお湯が出なかったという事例もある。
引き渡し前のチェックが望ましいものの、やむを得ない場合は引き渡し後、すぐに配管設備を確認しよう。
(本誌初出 施工不備は引き渡し前に確認を/69 20201110)
■人物略歴
ながしま・おさむ
1967年生まれ。広告代理店、不動産会社を経て、99年個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」設立