経済・企業中国EV旋風

全米最大の公的年金が中国の新興EVメーカーの株を買い増していたワケ

    蔚来汽車(NIO)の売れ筋SUVのEV「ES6」(2020年9月の北京モーターショーで筆者撮影)
    蔚来汽車(NIO)の売れ筋SUVのEV「ES6」(2020年9月の北京モーターショーで筆者撮影)

     総資産4000億ドル(約41兆5800億円)。全米最大の公的年金基金であるカリフォルニア州退職年金基金(カルパース)がこの7~9月の間に、中国の新興電気自動車(EV)メーカー、蔚来汽車(NIO、上海市)の株を買い増していたことが分かった。米証券取引委員会(SEC)に提出した文書で明らかになった。 オンライン独自特集「中国EV旋風」はこちら

    設立3年でNYに上場

     NIOは2015年5月の設立で、18年9月に中国の新エネルギー車(NEV)メーカーとして初めて米ニューヨーク証券取引所に上場。今月2日には時価総額が一時449億4600万ドルに達し、上場後わずか2年で、中国最大の自動車グループ、上海汽車集団(上海市)の中国市場での時価総額を上回った。

    中国の新興EVでは筆頭格

     NIOは中国の新興EVメーカーの中でも筆頭格で、勢いに乗る理想汽車(上海市)や威馬汽車(WMモーター、上海市)、小鵬汽車(Xpeng、広東省広州市)を販売台数でリードしている。

     10月の新車販売台数(引き渡しベース)は5055台に達し、18年6月の販売開始以来、初めて5000台を超え、単月として過去最高を記録した。月間1000台が一つの目安とされる中国EV市場で、販売を優位に進めている。

     決算は上場以来赤字が続いているが、赤字幅は縮小傾向にあり、好調な販売に寄せる市場の期待は大きい。

    充電3分の交換ステーション

    わずか数分で満タンに早変わりするNIOの電池交換ステーション(2020年9月の北京モーターショーで筆者撮影)
    わずか数分で満タンに早変わりするNIOの電池交換ステーション(2020年9月の北京モーターショーで筆者撮影)

     NIOが主力とするのはSUV(スポーツタイプ多目的車)の「ES6」(写真)。航続距離は最大610キロだ。価格は日本円にして500万円以上と高額だが、同社は車載電池の交換ステーションを中国各地に設置し、全自動式でわずか3分で電池の交換を完了するサービスを導入している。ほかにも、走行中に充電が切れた時に備え、言わば救急車のような充電設備搭載車両を用意している。こうしたEVメーカーとしての新しいビジネスモデルをカルパースは高く評価したのかもしれない。

     ただ、たびたび車両の発火事故を起こしており、安全面での懸念払拭が今後の課題となりそうだ。

    (川杉宏行・NNA広州)

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    もうかるEV(電気自動車)、電池、モーター14 「電動化」が業績・株価を左右 「次の勝者」探しも活発化 ■神崎 修一/桑子 かつ代/斎藤 信世16 巨人の焦り トヨタから「自動車」が消える日 ■井上 久男18 自動車部品 日本電産が台風の目に ■遠藤 功治20 図解 EV用電池「国盗り物語」 ■編集 [目次を見る]

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