「コロナで終電繰り上げ」が影響を及ぼす「意外なサービス」の正体
AI(人工知能)を使った業績予測システム「ゼノブレイン」では、終電時刻繰り上げが及ぼす日本企業への影響として、主に六つの経路を示した。
マイナスの影響が大きいと分析されたのは居酒屋やスナック、バーなどで、素直な結果が出たと言えるだろう。
酒類を提供する飲食店は、新型コロナウイルスによって大きな打撃を受けるなか、今回の件が追い打ちとなる。
また、深夜まで営業しているレストラン、2次会で利用されるカラオケなども利用客の減少が懸念される。
しかし、残業などの理由から、「終電を逃す人たち」が増えるとも予測される。
このような人たちが居酒屋やレストランを利用することも考えられるが、むしろインターネットカフェやタクシー、カプセルホテルやビジネスホテルの利用者が増加する予測となった。
この影響は一時的なもので、長期的には期待できないという見方もあるが、実際にインターネットカフェ関連株が急騰するなど、市場への期待はすでに表れている。
また、このほかに予想されたのが、働き方や生活スタイルの変化だ。
終電時間が早まることで働き方改革が進み、生活スタイルが朝方にシフトすることで、ファストフード店やカフェの朝食サービスの需要が増加するという経路が浮かび上がった。
なお、JR東西両社への影響はプラスに傾くという分析結果となった。
深夜の利用者数の減少よりも、乗車率の低い電車の本数を減らすことによるコスト削減のほうが効果は大きいと見られる。
一方で、私鉄やバスなどはいまのところ利用数減少のマイナス影響が強いが、同じく終電繰り上げの対応を発表すれば、プラスの影響が強くなることもあり得そうだ。
(本誌初出 第4回 終電繰り上げで「朝方サービス」需要増=ゼノデータ・ラボ 20201124)