経済・企業挑戦者2021

服部慎太郎 スナックミー代表 おやつの定期便で幸せ届ける

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

 個人の好みに合わせた「おやつ体験ボックス」を定期便で販売するスナックミー。体験に軸を置いたサービスが好感され、女性を中心に利用者を伸ばしている。

(聞き手・構成=斎藤信世・編集部)

1箱には8種類のおやつが入っている
1箱には8種類のおやつが入っている

 価値あるおやつ体験を届けることを目的に、おやつの定期購入サービスを展開しています。100種類以上のおやつから、個人の好みに合わせた8種類を詰め合わせた箱を届けています。

 料金は、定期便で1箱1980円(税込み、送料無料)です。2週に1度届くプランの場合は、2回目は1箱につき1930円(税込み)です。

 顧客のうち、女性が95%で年齢は25〜40歳と幅広いです。働いている女性が、ちょっとしたご褒美として買うことが多いようです。

 利用者は定期便を始める際に「おやつ診断」という簡単なアンケートを行い、食べた後は、お菓子の評価や今後の要望を会員ページから入力できます。そうして集まったデータをもとに、独自のアルゴリズム(計算手法)で、毎回個人に合わせたおやつを選んでいます。ただ、自分が好きなもの以外にも、偶発的な出合いから自分の好みに気づくこともあるので、若干の遊び心も大事にしています。

 おやつを一緒に開発する取引先は全国に約100社あります。全てのおやつは人工添加物不使用で、種類は常時100種類程度あります。利用者から反響が良いのは、例えばパイナップルのドライフルーツで、市販のものと比べて控えめな甘さが特徴です。

 2020年11月下旬からは、おつまみの定期便「オツマミー」も開始しました。コロナ禍で外食自粛が広がり、会員から「おつまみ版も作ってほしい」という要望が多くあったので、3日ぐらいで準備したにもかかわらず、1週間で1000件近く売れました。

マルシェ好きが高じて

 僕自身、食にすごく興味があります。週末は東京・青山のマルシェ(市場)によく行くのですが、自然由来の原料から作られたおいしいお菓子が並んでいます。ただ、行けるのは週末に限られたり、値段も手ごろではなく大袋で売っているものが多いので、いろいろな種類を買うことができない点などが気になりました。「マルシェで売っているお菓子をネットで買えたらいいな」と思ったのが、サービスを始めたきっかけでした。

 最初はマルシェで買ってきたものを段ボールに詰め合わせて販売しました。売れるか分からなかったので、商品を集める前にフェイスブックに広告を出したのですが、これが結構売れました。最初は1日数件単位だったものが、月数十件、100件と増えたので、これはニーズがあるぞと思い、パティシエを雇い、自社開発を始めました。

 学生の頃は何かを作って、社会の役に立ちたいという思いがあり、大学院では化学の実験をしていました。あるとき大学院でベンチャーの授業が始まったので興味本位で受講したら、面白かったんです。それで化学メーカーや実験の道に進むのはやめようと決めました。いきなり起業しようとも思いましたが、まずはコンサルの道に進み、転職も経験し、ようやく自分でやろうと今に至ります。

 今後は、飲料の定期購入サービスなどもやりたいと考えています。将来的には製菓業界において、デジタル生まれの新しい形のおやつメーカーを目指していきたいです。


企業概要

事業内容:おやつのサブスクリプション(定期購入型)「スナックミー」、おつまみ版「オツマミー」の運営

本社所在地:東京都中央区

設立:2015年9月

資本金:5000万円

従業員数:20人弱


 ■人物略歴

はっとり・しんたろう

 1981年生まれ。慶応義塾大学大学院修了後、日本総合研究所、ボストン・コンサルティング・グループにてコンサルティング業務に従事。その後、スタートアップ、ディー・エヌ・エーを経て、2015年9月にtexta(現:スナックミー)を設立。

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