蜜月関係は終わった?中国が「徹底的なオーストラリアいじめ」を始めたワケ
豪中関係の悪化を背景に、中国が豪州産品への輸入規制を強化している。
牛肉や大麦に加え、11月末には豪州産ワインに最大212・1%の「反ダンピング保証金」を課した。
豪州産ワインの中国向け輸出額は約11億豪ドル(2019/20年度)と全体の約4割を占めるため、豪農業省は「中国向け高級ワインが他市場で安売りされる」と悲観する。
中国は豪州の輸出額で全体の34・3%(19年)を占める最大の得意先。
00年代まで爆発的に伸びた1次産品の対中輸出は、先進国最長の景気拡大を支えた。
だが、蜜月関係は終わった。
豪政府は18年、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の第5世代移動通信システム(5G)参入を排除。
また20年4月には新型コロナウイルスに関する透明性のある調査を求め、中国が猛反発するなど、対立は決定的となった。
ただ、豪州最大の輸出商品である鉄鉱石に対しては、中国が輸入を規制する可能性は低そうだ。
豪州は鉄鉱石輸出額の68%(19/20年度は849億豪ドル)を中国に輸出しているが、中国ではコロナ経済対策で建設需要が高まり鉄鉱石需要が急増。
輸入依存度が高まっているという。
(守屋太郎・日豪プレス特約記者)
(本誌初出 豪州 激しさ増す中国の「豪州いじめ」=守屋太郎 20210105)