週刊エコノミスト Online2021年の経営者

ウォシュレットが米国で好調 清田徳明 TOTO社長

    Interviewer 藤枝克治(本誌編集長) Photo 武市 公孝:東京都渋谷区のTOTO東京センターショールームで
    Interviewer 藤枝克治(本誌編集長) Photo 武市 公孝:東京都渋谷区のTOTO東京センターショールームで

    ウォシュレットが米国で好調

     Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)

    ── 新型コロナウイルスの影響で、2020年4〜9月の売上高は前年同期比13%減と、388億円もの減収になりました。

    清田 政府の緊急事態宣言で、ショールームを一時的に閉鎖せざるを得なかった影響が出ました。国内の売り上げのうち約7割がリフォーム関連で占めており、ショールームに来た顧客にさまざまな相談や提案をしながら、商品を選んでもらっています。海外の主要市場である中国や米国でも、営業面や生産面で影響を受けました。ただ、国内では昨年6月からショールームを再開しており、完全ではないものの顧客は戻ってきています。(2021年の経営者)

    ── すべての地域が厳しかった中で、米国で温水洗浄便座(ウォシュレット)の販売が好調でした。

    清田 米国ではウォシュレットを30年以上前から展開しています。ここ数年、販売は前年に比べ2〜3割程度伸びていましたが、今回のコロナ禍で一気に火が付きました。きっかけはトイレットペーパーの不足で、水で洗うことが注目されたからです。ペーパー不足はすぐに解消されましたが、快適なことや衛生的である点が評価されて、波が変わりました。

    ── 具体的にはどれくらい伸びましたか。

    清田 昨年1〜6月のウォシュレットの販売台数は前年同期比で5割増、7〜9月は2・6倍増となりました。米国では少し前まではウォシュレットになじみがなく、「キワモノ」として受け止められることもありました。しかし、米国から日本に来る観光客が増え、日本で実際にウォシュレットを体験したことが普及のきっかけになっているようです。

    ── ウォシュレットは1980年の販売開始から40年が経過しました。かつての「おしりだって、洗ってほしい」のテレビCMは大きな話題となりましたね。

    清田 発売当初はテレビCMを(食事時の)ゴールデンタイムで流していましたので、抗議の電話もあったようです。トイレを設置する工事店の人たちに体験してもらったり、キャラバンカーを走らせたりして、快適さが口コミで広がっていきました。80年代後半から着実に販売を伸ばしています。現在の米国でも、実際に体験した人たちがSNS(交流サイト)で発信したりして、拡散されているようです。

    まだまだ伸びる中国

    ── 他社の温水洗浄便座との違いは?

    清田 お尻を洗浄するための便座ですので、洗うことについては徹底的に研究を重ねています。開発当初にかなりの数の実験を重ね、洗浄水が出る最適な角度を43度と導き出しました。その後も、洗浄水を玉状にして強弱をつけながら噴射する洗浄方法を開発しました。単に温水をバシャバシャ当てるのでなく、お尻にちょうど当たってきれいに洗える仕組みを進化させています。私は実際に座ってお尻を洗えば、見なくてもTOTOの製品だと分かりますよ(笑)。

    ── ウォシュレットと便器が一体となった最新型の「ネオレストNX」は、流線型の見た目がユニークですね(写真の商品)。

    清田 金額は約60万円と高級ですが、360度どこから見ても美しい、オブジェのような外観が売りの一つです。衛生陶器は焼き終えると13%ぐらい収縮するため、仕上がりの際にプラスチック製のウォシュレットを違和感なく一体化させるには、相当に難しい技術が要求されます。そうした技術をあますところなく発揮しただけでなく、少ない水で効率的に洗浄する機能など、我々が持つ最高位の機能をすべて備えました。

    ── 海外市場はどう考えていますか。

    清田 海外売上比率は25%ぐらいですが、そのうちの半分が中国です。「釣魚台国賓館」(重要会合などが開催される北京の迎賓館)のトイレに我々の製品が採用されるなど、中国では高級ブランドとして認識されています。中国のGDP(国内総生産)は1ケタ台に落ちてきましたが、人口も多く購買力も上がっています。まだまだ消費は伸びていくでしょう。

    ── 製品の現地生産を進めています。

    清田 中国やタイ、ベトナム、インドには衛生陶器の工場が既にあり、一定以上の市場が望める場合は「地産地消」する方針です。(陶器の材料となる)土はできるだけ工場の近くから調達するようにしていますが、土は場所によって質が異なります。工場を建てたばかりの時は他の地域から持っていくこともありますが、材料をうまく組み合わせることで調達を可能にしています。

    ── 22年に連結売上高7200億円の経営計画を掲げています。

    清田 計画を立案した段階では、コロナや米中対立は想定されていませんでした。そのため、この数字を見直さなければいけないタイミングが来ると思います。

    (構成=神崎修一・編集部)

    横顔

    Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

    A ウォシュレットの企画部長をしていました。もっと米国でも売れるはずだと思っていました。部下を現地に派遣して、さまざまな仕掛けをしましたが、なかなか結果にはつながりませんでした。

    Q 「好きな本」は

    A カーネギーの『人を動かす』は何度も読み直しています。

    Q 休日の過ごし方

    A 海外の名所シリーズのDVDを見て過ごしています。


     ■人物略歴

    清田徳明(きよた・のりあき)

     1961年生まれ、福岡県立小倉高校、長崎大学経済学部卒業後、84年東陶機器(現TOTO)入社。レストルーム事業企画部長兼ウォシュレット企画部長、国際事業部長、衛陶生産本部長などを経て20年4月から現職。福岡県出身、59歳。


    事業内容:衛生陶器、温水洗浄便座、浴槽、水栓金具の製造・販売など

    本社所在地:北九州市

    設立:1917年5月

    資本金:355億円

    従業員数:3万4079人(2020年9月末、連結)

    業績(20年3月期、連結)

     売上高:5964億円

     営業利益:367億円

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