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経済・企業 挑戦者2021

中山田明 MFS代表取締役CEO(最高経営責任者) 最適な住宅ローンを紹介

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

 住宅ローンを必要とする人が、金融機関の審査に通りやすくて有利な条件で借り入れ・借り換えを簡単に探せるインターネット世界を目指す。

(聞き手=藤枝克治・本誌編集長、構成=中園敦二・編集部)

モゲチェックのイメージ画面 同社提供
モゲチェックのイメージ画面 同社提供

 住宅ローンを借りたい人と、貸したい金融機関をインターネット上で結びつけるサイト「モゲチェック」を開設しています。(挑戦者2021)

 一般的に住宅ローンを借りる人は、不動産会社からあっせんされた銀行や、自らネットで探した銀行を比較して「どれがいいのだろう」と悩む人が多い。

 一方、金融機関側は、超低金利の時代で住宅ローンはもうからない商品となり、しかもコロナ禍で対面営業はできず、差別化も難しい。銀行にとっては自社商品を本当によいと思う顧客をどのように集客するかが課題となっています。

 ローンを借りたい人は、まず「モゲチェック」に名前、年齢、年収、自己資金など12項目を入力します。すると審査を通る確率の高い銀行がランキングとして表示されます。通常、住宅ローンを組む時、契約者が死亡した場合などに備えて生命保険に入り、万が一の時にはローン残高分の保険金が支払われます。このため、その保険料としてローンの金利が上がりますが、その分を差し引いて分かりやすく比べられます。例えば、5000万円のローンなら「A銀行は金利1%で、審査を通る確率は80%」という感じです。利用者はそのなかの好みのローンを選んで、簡単に申し込めます。

 これまでに5000件以上の住宅ローンの申し込み実績があり、借り入れる人の情報と金融機関の審査結果を独自のシステムで分析しています。このデータの積み重ねがあるので、申し込んだ人がどれだけの金額を、どれだけの確率で借りられるかが、かなりの精度で分かるようなりました。これがわれわれの最大の強みです。さらに精緻化するため、今年5月からはAI(人工知能)による分析に徐々に移行させます。

「モゲチェック」は無料で利用でき、金融機関に申し込むとその銀行から手数料がわれわれに入ります。

店舗展開からネット主体に

 この事業を始めるまでの約20年間、複数の金融機関で住宅ローンの証券化に携わりました。データに強いわけではないのですが、ローンのリスクをどうみるかということは分かっていました。当初、1人でレンタルオフィスを借り、住宅ローンを比較するアプリを作って、「ほけんの窓口」の「住宅ローン版」をやろうと思いました。東京・銀座などに3店舗を構え、当初は「全国100店舗構想」と掲げましたよ。でも同様のサービスが電話でもできると分かり、さらに19年2月からはネットに移行しました。

 最初からネットを活用したいとは思っていたのですが、実績もブランドもない会社だったので、まずは対面からスタートしました。遠回りはしたかもしれませんが、お金を借りたい人と金融機関を結びつけるところにビジネスのエッセンスがあると一貫して考えていました。

 現在、「モゲチェック」で月間約1500件のローンの申し込みがあります。年内には月間1万件に増やし、将来的には上場を目指します。


企業概要

事業内容:オンラインの住宅ローンサービス「モゲチェック」、不動産投資サービス「モゲチェック不動産投資」の運営

本社所在地:東京都千代田区

設立:2009年7月(個人資産管理会社を14年10月から現社名に変更して始動)

資本金:1億円

従業員数:30人


 ■人物略歴

なかやまだ・あきら

 1967年生まれ。大阪府出身。91年東京大学経済学部卒業後、三井物産などを経て新生銀行・新生証券で住宅ローン証券化チームの責任者となったが、リーマン・ショックにより退職。SBIモーゲージ(現アルヒ)CFO(最高財務責任者)を経て2014年からMFS代表取締役CEO。54歳。

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