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経済・企業挑戦者2021

配送員1万人が利用する配送効率化アプリ=高柳慎也・207株式会社社長

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

高柳慎也 207(ニーマルナナ)社長 個人宅配員をITで支援する

 宅配業界が抱える現場の課題を知る中で、配送効率化のアプリを開発した。

(聞き手=藤枝克治・編集長、構成=和田肇・編集部)

スマホで伝票データをすべて読み込める
スマホで伝票データをすべて読み込める

 宅配の配送員向け業務支援アプリ「TODOCU(とどく)」を提供しています。荷物に貼ってある伝票を、スマートフォンで撮影するだけで、全てのデータをスマホに取り込むことができ、スマホ画面上に届け先の地図や最適な配送ルートなどが表示されます。従来は、配送員が紙の地図に印を付けたり、グーグルマップやカーナビゲーションに、住所や電話番号を手入力していました。(挑戦者2021)

 また、伝票に記載されている受取人の携帯電話番号も取り込んでいるので、受取人にSMS(ショートメッセージ)を送信することができます。受取人は在宅や不在、置き配希望などを、ワンタッチで配送員に知らせます。チャット(文字による会話)機能も付いているので、細かなやり取りも可能ですし、配送員がどこにいるかも、スマホの地図上で知ることができます。

 アプリの開発はいろいろと苦労しました。知り合いの優秀なエンジニアに頼んで、うちに入社してもらい、基本的な設計は私がやり、あとはそのエンジニアが中心になって作ってもらいました。その他、多くの友人にサポートしてもらいました。

 このアプリは、当社サイトで公開して以来、口コミを中心に広がり、現在、約1万人の配送員が利用しています。アプリの利用は無料ですが、詳細な住宅地図機能を使う場合は、月額1600円の課金が発生します。配送員のSMS送信は1通10円かかりますが、受取人のSMS利用は無料にしています。

 大学は農学部でしたが、卒業後は福岡のベンチャー企業に就職しました。光ファイバー通信の訪問販売会社でしたが、独立してできると思い、4カ月で退社して、京都で個人で訪問販売の仕事をしていました。その頃、ちょうどアップルのスマホ「iPhone」が発売され、ITやアプリなどがはやり出していて、自分もそれに携わりたいと思っていました。東京への憧れもあって、アプリを制作する東京のITベンチャー企業に就職しました。その後、越境EC(日本と海外のインターネット通信販売事業)の会社で働いた後、2018年に今の会社を設立しました。

“待ち合わせ”からアイデア

 元々物流に関心がありました。17年に、ヤマト運輸などの宅配各社が、急増する荷物に対応しきれず、配送料値上げや宅配便抑制を求めるという“物流クライシス”が話題になりました。ちょうどその頃、友人と待ち合わせをする時に、グーグルマップの「現在地共有機能」を使っていました。それを使えば、友人は私がいまどこにいるのか、地図上で分かります。この機能を物流問題解決に応用できないかと思ったのが、会社を設立した動機です。

 あまり知られていませんが、宅配便の配送員の約7割は業務委託の個人事業主です。こうした配送員の報酬は、荷物の配達個数で決まります。そのため、彼らは何回再配達しても報酬は同じであり、宅配会社側の利益も変わりません。だから、宅配会社は「ラストワンマイル」と呼ばれる、末端の配送の効率化にはあまり投資をしてきませんでした。将来は、世界中どこにいても、必要なモノが必要な時に届く世界を作りたいと思っています。


企業概要

事業内容:宅配効率化アプリ開発、宅配効率化事業

本社所在地:東京都目黒区

設立:2018年1月

資本金:3000万円

従業員数:27人


 ■人物略歴

たかやなぎ・しんや

 1989年佐賀県生まれ。山口大学で農学部に在籍。最初は農業を志すも、卒業後は福岡のベンチャー企業に就職。東京のITベンチャー企業などを経て、2018年に207を創業。32歳。

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