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経済・企業挑戦者2021

石澤正芳 メロウ(Mellow)代表取締役 キッチンカー先行発進中

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

 オフィスビルやマンションでパスタやカレーなど多彩なメニューを提供する移動型店舗「キッチンカー」がにぎわっている。

(聞き手=中園敦二・編集部)

キッチンカーの出店場所がわかる「SHOP STOP」アプリ画面のイメージ メロウ提供
キッチンカーの出店場所がわかる「SHOP STOP」アプリ画面のイメージ メロウ提供

 小型トラック内で調理したメニューや食品を提供するキッチンカーの営業場所の運営を中心に、キッチンカーの開業支援や移動型店舗の情報発信アプリ「SHOP STOP(ショップ・ストップ)」を開発、提供しています。(挑戦者2021)

 事業者は食品衛生や営業許可、保険加入などの要件を満たした場合に登録(現在約1300台)できます。当社はビルオーナーから借りた場所で曜日ごとに会員事業者に出店を募集し、メニュー構成や価格帯を検討し、配車します。顧客は「SHOP STOP」でメニューなど店舗情報を見て足を運んでもらいます。

 事業者の売り上げの15%を受け取り、その数%をビルオーナーに支払う仕組みです。事業者からの手数料を固定しなかったのは、ビジネスパートナーと考えているからです。売上高が落ちれば、どうしたらいいか支援します。開業のための初期費用はキッチンカーのリースを含めて500万円程度です。

 実は19年ほど前に移動販売車でカフェを1人でやっていました。食品衛生法で定められている許可を取って、路上で移動販売していましたが、その後、駐車違反になる恐れも出てきて営業できる場所がなくなるという壁にぶつかりました。事業者の中にはクオリティーが高く、顧客が喜ぶメニューにこだわり、行列ができる人気店もありました。彼らから「店舗を構える資金はない。でも自慢のメニューを提供したい」という“熱量”を感じました。合法的に営業場所を借りれば、道は開けると思いつきました。

 とはいえ、当時は公園でキッチンカーのイベントもない時代。ビルオーナーのところに行っても会ってもくれない。当時勤めていたイベント会社で現在のビジネスモデルの前身となる事業を始め、5年前に社会的信用力をつけようとメロウを設立しました。

 ビルオーナー側にとっては投資額がゼロなので、徐々に空地(くうち)を貸してもらえるようになりました。最初の頃のターゲットは東京・丸の内で働き、ランチの場所に困っている女性派遣社員さん。ただ、当初はオフィスビルの敷地でキッチンカーを並べても、「怪しい」と思われて誰も寄ってくれませんでした。でも、コンビニ弁当より少し高いけど、手作りで温かく、店舗が毎日入れ替わり、メニューも飽きないようにしたら評判になりました。

 現在、コロナ禍で在宅勤務が多くなり、マンションエリアでも展開しています。

時代と逆行が「価値」

 最近の“固定型”飲食店は効率化を求め自動化を図っています。我々のコンセプトは「人がいるところにサービスを持って行く」こと。現在、首都圏と関西、九州で1日500台が稼働しています。一生懸命に作っているところを顧客に見てもらい、笑顔で接客する事業者の熱意も伝えられる。時代の逆を行くようですが、そこに「価値」がある。今後、買い物難民など地方が抱える問題について地元の自治体、企業とのパートナーシップを深めたい。金融機関と組むことも考えています。


企業概要

事業内容:モビリティーを活用した空地活用事業、店舗型モビリティーの開業支援・コンサルティグ事業

本社所在地:東京都千代田区

設立:2016年2月

資本金:9億406万円(資本準備金含む)

従業員数:36人


 ■人物略歴

いしざわ・まさよし

 1972年東京都生まれ。90年東京都立小松川高校卒業、95年法政大学工学部卒業。システムエンジニア、カフェカー経営、イベント会社でキッチンカーの運営事業部の設立に携わり、2016年にMellowを設立して現在代表取締役。49歳。

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