岡井大輝 Luup代表取締役 人口減少時代に必要とされる交通インフラを
岡井大輝 Luup代表取締役 小型モビリティーで人々の足支える
人口減少時代を前に、人々に必要とされる交通インフラの構築を目指し、電動の小型モビリティーに取り組んでいる。
(聞き手=斎藤信世・編集部)
電動キックスケーターや電動アシスト自転車など、小型モビリティーのシェアリングサービス「LUUP(ループ)」を展開しています。(挑戦者2021)
電動キックスケーターの利用者は運転免許証の提出が必要です。その上でスマートフォンのアプリで予約を行い、目的地を設定すれば利用することができます。目的地に着いたら、停車した機体の写真を撮影し、駐車スペースからはみ出ていないことを当社で確認できれば利用完了となります。
初乗りは10分で税込み110円、以降は1分当たり16.5円が加算されます。今後は月額制の導入も検討しています。現在までに渋谷や丸の内、銀座などの東京都心、横浜や大阪にサービスを導入しました。
競合との違いは、乗る前に目的地を設定することで、各駐輪場のキャパシティーを超えない仕組みにしている点です。例えば15台分のスペースに、40台が止まっていたら、景観が損なわれますよね。ループではその心配がないので、マンションやオフィスでも安心して利用できます。
現在、電動キックスケーターは実証実験中です。道路交通法上では小型特殊自動車としての扱いで、ヘルメットの着用は任意、速度については最高で時速15キロメートルとなっています。ルールが複雑なので、利用前には10問の道路交通法テストを受験する必要があります。
介護士版Uberの失敗
もともと大学時代に一度起業を考えましたが、学生だとなかなか信用がなく難しいということで諦めました。卒業後は戦略系コンサル会社に入社し、1年ちょっと勤めた後、東京大学の仲間と再会し起業しました。
日本は今後、高齢化と人口減少が深刻化する中で、社会生活の基盤となるインフラが維持できなくなる可能性があります。その日本において必要なインフラを作りたいと思ったのが起業したきっかけです。
でも資金調達には苦労しましたね。統計的にみると、いつかは死亡事故が起こる事業だと思っています。安全上のリスクを考えると、大きい資本を持っている企業の評価は非常に厳しいです。
ループにたどり着くまでは、介護士のマッチングサービス「介護士版Uber」を含むいくつかの分野に挑戦しました。もともと僕の祖母が認知症で、母親が介護で大変な姿を見ていたので思いついたビジネスでした。しかし、日本は介護士を配送する土台の交通インフラが十分でないことに気づき、頓挫してしまいました。
今後については、2023年までにループの全国展開を目指します。また高齢者用の三輪、または四輪の導入も検討していて、より幅広い世代の人に利便性の高いモビリティーを提供していきたいと思っています。
企業概要
事業内容:電動キックスケーターなどのシェアリングサービス
本社所在地:東京都渋谷区
設立:2018年7月
資本金:非公表
従業員数:30人
■人物略歴
おかい・だいき
1993年東京都生まれ。2017年東京大学農学部卒業。新卒で戦略系コンサルティングファームに入社し、18年にLuupを創業。28歳。