ビジネスや人脈づくりに重宝される「決裁者限定マッチングサービス」
平野哲也 オンリーストーリー代表取締役CEO 会いたい決裁者にすぐ会える
商材の売り込みなどのために、決裁者に会いたいのになかなかたどり着けない。そんな経営者の悩みを解決するのがオンリーストーリーの決裁者限定マッチングサービスだ。
(聞き手=加藤結花・編集部)
決済権限のある決裁者同士を直接つなぐマッチング支援サービスを運営しています。無料・有料版合わせて4500社以上の企業の決裁者が登録しており、利用者は興味を持った決裁者に「会いたい」と気軽に反応を送ることができます。通知が届いた相手側も会ってみたいと思えば、マッチングが成立。その後は、チャット機能を使って個別での商談などに進むことが可能です。(挑戦者2021)
基本的には執行役員以上が登録し、ビジネスや人脈づくりなどに活用されています。登録に当たっては職位や事業規模などを審査しているので、利用者が安心して使うことができます。マッチング以外にも、決裁者の紹介や商談成立のための支援、複数の決済者同士が交流ができるオンラインイベントの開催などを行っています。オンラインイベントは週2、3回開催しており、活動は活発です。
サービスを通して174件の決裁者とマッチングし、19件の受注に成功した東京都のウェブデザインなどを手がける会社(有料会員、従業員約30人)や、マッチング先の会社の改善提案を受け再生可能エネルギーを導入し、25%の電力カットという経費削減を達成した香川県の会社(無料会員、同50人)の例などが報告されています。
もともと「なかなか決裁者に会うことができない」という経営者の悩みを解決しようと始めたサービスでしたが、コロナ禍で対面での交流会の機会が減り、テレアポ(電話営業)をしても会社にそもそも人がいないといった状況も発生。オンラインによる決裁者マッチングという私たちのサービスがより求められるようになっています。
M&Aや採用支援も
父や祖父が経営者という環境で育ったこともあり、「自分も経営者になりたい」という思いがありました。大学3年の時に就活をしないことを決め、起業家を目指しました。
現在は事業が軌道に乗り、今年4月には総額13億円の資金調達を実施しましたが、何の苦労もなくここまで来れたわけではありません。起業したいと思いながらそこに至るまでに2年、資金調達には6年かかりました。
大変だったのはハード(サービスの機能)とソフト(登録者)の充実です。マッチングサービスですから、登録者が少ないと利用者は価値を感じられません。登録してもらうために、1社1社回って、サービスの内容や独自性を説明しましたが、機能も今のように充実していなかったのでその説明にも苦労しました。その後はPRやマーケティング戦略、サービスに満足してもらった利用者からの紹介などで少しずつ登録者が増え、それに伴ってハード面も改良していきました。
主に営業目的で活用されていますが、提携先探し、合併・買収(M&A)、採用支援など企業の課題解決に幅広く貢献できるチャンスがあると考えています。カスタマーサクセス(顧客の成功)を大切に、泥臭くサポートしていきたいです。
企業概要
事業内容:決裁者マッチングサービスの開発、運営など
本社所在地:東京都渋谷区
設立:2014年2月
資本金:15億5100万円(資本準備金等含む)
従業員数:105人(アルバイト含む)
■人物略歴
ひらの・てつや
1990年生まれ。神奈川県生まれ、2013年早稲田大学政治経済学部卒業。起業を目指し就職をしないことを大学3年時に決断。起業家支援のサービスを行う企業へのインターンを経て、14年2月オンリーストーリー設立。今年4月には総額13億円の資金調達を実施した。