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教養・歴史書評

アジアとの関係再構築に「大東亜」構想の問い直しは必須だ=井上寿一

 日本にとって1945年8月15日に終わった戦争は、どう呼べばよいのか。今も議論が続いている。細谷雄一編著『世界史としての「大東亜戦争」』(PHP新書、1078円)は、論争的な呼称の「大東亜戦争」を提唱する。

「大東亜戦争」と呼称することで、どのような戦争の全体像が明らかになるのか。期待して読み進めると、拍子抜けする。「大東亜戦争」として正面から取り上げている章は少なく、「第二次世界大戦」や「日米戦争」の呼称が混在している。共著者間には「大東亜戦争」と呼ぶことが共有されていないようである。

 気を取り直して、編者のもう一つの強調点である「国際史(インターナショナル・ヒストリー)」の観点から読み返すと、豊かな知見を得ることができる。日本はもとより米英独仏・中国・ソ連からの視点を分析することによって、この戦争は立体的に可視化される。学際的な研究をわかりやすくまとめた著作としての価値は高い。

 なかでもフランス史の視点からの第九章が知的刺激に満ちている。日本は「アジアの解放」を掲げながら負けた。対するフランスは植民地帝国だったからこそ勝ったと示唆されているからである。

「大東亜戦争」の目的は「アジアの解放」「大東亜共栄圏の建設」だった。「大東亜共栄圏」とは何だったのか。安達宏昭著『大東亜共栄圏』(中公新書、968円)が精緻な分析を展開している。

 本書が注意を喚起しているように、「大東亜共栄圏」構…

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