経済・企業深層真相

若者に大人気の「3畳極狭物件」に不正融資疑惑が浮上

千葉市で育ち、都内の狭小物件に引っ越した片桐昂希さん=東京都世田谷区で2018年12月18日、根岸基弘撮影
千葉市で育ち、都内の狭小物件に引っ越した片桐昂希さん=東京都世田谷区で2018年12月18日、根岸基弘撮影

 都心・駅近、格安だが、「3畳」の狭小ワンルームを販売する不動産会社で、銀行へ提出する融資書類の改ざん疑惑が、一部報道で浮上している。

 同社関係者によると、その手口はネットバンキング画面の口座残高を改ざんして、顧客に十分な自己資金があるかのように見せかけて金融機関から融資を引き出していたという。関わった金融機関はメガバンクから信用金庫まで少なくとも13あり、過去の“改ざん事件”に比べて圧倒的に多い。

 この不動産会社は、「1物件1法人」なる手法を駆使していた。顧客がアパートを買う前に会社を設立させて、その会社名義で融資を申し込む。2棟目、3棟目は与信枠を広げるために新会社を作って別の金融機関に融資を申し込んでいたため、取引金融機関の数が増えていった。

 また、「同社には大手行の元社長が顧問をしていたことも融資を引き出す際には、有利に働いた」(金融関係者)という。

 改ざん疑惑について不動産会社は「現在調査中で、個別の取材には応じられない」という。また、元社長の古巣の大手行広報は「元社長の不動産会社の顧問就任には関与していない」とするが、金融庁関係者は「放置できない」とみている。

(本誌初出 不動産会社に群がる銀行「問題融資」のなぜ 2020/6/2)

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