HIS沢田氏の長男が経営するクルーズ船予約サイトが荒波にもまれている
クルーズ船予約サイト「ベストワンクルーズ」を運営するベストワンドットコムが荒波にもまれている。富裕層やシニア層を対象としてきたクルーズ旅行を、格安で気軽に実現できる予約サイトとして人気だったが、今年2月、横浜に停泊した「ダイヤモンド・プリンセス」で新型コロナウイルスの感染症患者が発生、クルーズ船の運航中止が相次ぎ、開店休業状態に追い込まれているからだ。
2020年7月期の連結業績予想も撤回し、未定と発表した。
ただ短期的な業績への影響は軽微のようだ。船会社は顧客に全額返金しているため、売上高は減少したが、コロナという異例の要因のため手数料は船会社から保証されている。また、同社は日本語サイトのみで、インバウンド(訪日客)激減の影響も小さいという。
問題は株価だ。昨年12月に5410円だった株価は今年3月には997円まで売り込まれた。
ベストワンの社長である沢田秀太氏は、HIS会長兼社長の沢田秀雄氏の長男。格安航空券のパイオニアで、長崎のハウステンボスを再生させた経営手腕は有名で、長男の会社運営にも関心が高まっていた。18年4月の上場直後に7900円の高値が付いたのも、期待先行の側面があったようだ。今回の苦難をどう乗り越えるのか、会社のかじ取りが問われる。
(本誌掲載版を加筆しています)