「日本人が戻ってこない……」コロナで孤立したインドの日本人が陥る「悲惨な状況」
デリーなどインドの大都市部で、日本人相手のビジネスを行っている日本人経営者たちは悲鳴を上げている。新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)の影響で、営業ができず財政難に陥っているためだ。ロックダウンは6月から段階的に解除されているが、一時帰国をしている日本人は約80%にのぼるとみられ、顧客数は激減している。
日本人が戻ってくる見通しも立たない。インド政府は7月6日、国際線定期便の運航停止措置を7月31日まで延長することを決めた。さらに日本航空(JAL)は、インド便を9月末まで運休すると発表した。従って、日本人相手のビジネスを行う経営者にとって、ほぼ無給状態があと2カ月以上続くことになる。
特に日本食レストランは深刻だ。デリーの南西に位置する日本人が多い都市グルガオンには約10軒存在するが、ほとんどが休業していて、営業を続けている店も、従業員の給料や家賃を払えない店が続出。廃業を決めた日本食レストランも出ている。筆者もインド国内5カ所で、日本食レストランを経営しているが、休業状況が3カ月半以上続いており、事業の縮小を検討せざるを得ない状況だ。
(中島敬二・元インド政府アドバイザー)
(本誌初出 インド 都市封鎖で経営難に陥る日本人=中島敬二 20200804)