【週刊エコノミスト創刊100年キャンペーン実施中】いまなら週刊エコノミストオンラインをお申し込みから3カ月間無料でお読みいただけます!

国際・政治ワシントンDC

「白人の中年女性で金髪、ショートカット」「自己中心的で要求ばかり」大量増殖中の「カレン」とは何か

“カレン”はあちこちに?(Bloomberg)
“カレン”はあちこちに?(Bloomberg)

読者の皆さんは“カレン”をご存じだろうか。

カレンは自己中心的で、公衆の面前で過度な要求を主張し、恥じることがない。

多くの場合、白人の中年女性で金髪、ショートカットだ。

これは、この数年米国のネット上で頻繁に使用されるようになった人物像で、本名に関わらずこうした態度の人を表現することに使われる。

カレンの発祥は定かではない。

2004年の映画「ミーン・ガールズ」、人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」などが発端との説はあるが特定されていない。

Karenという名前は1960年代、新生児に付ける名前としてポピュラーで、その後はあまり人気がなくなったため、現在の中年女性のイメージと結び付きやすい。

動画配信サイト「ユーチューブ」で検索すると大量のカレンの映像がヒットする。

カレンを撮ったという多数のSNS(交流サイト)上の映像が、新たなステレオタイプを爆発的に拡大させたのであろう。

今年の春以降、カレンの使われ方は大きく変化した。

新型コロナウイルスと人種差別問題の影響である。

マスクの着用が義務付けられている場所でも断固としてマスクを拒否し、大声で反論するカレンが急増した。

逆に、マスクを付けていない人に対して「着用しろ」と警告して回るカレンも出現している。

人種絡む事件続出

全米の注目を浴びたカレン事件は5月、ニューヨークのセントラルパークで起きた。

白人女性が犬を散歩させていたところに黒人男性が遭遇。

彼は犬をリードにつなぐように頼んだ。セントラルパークでは犬はつなぐことがルールになっている。

女性は犬をつなぐのを拒否し、その場で警察に「黒人が自分を脅している」と通報。

この状況をその男性が映像としてSNSに投稿し、女性に多くの非難が集まった。

彼女は、謝罪のコメントを出したが、勤務先から解雇され、虚偽の通報をしたとして刑事告訴されている。

6月にも人種問題に関わるカレン事件が起きた。

ミズーリ州セントルイスで「ブラック・ライブズ・マター」(黒人の命は大事だ、BLM)運動の一環として、デモ参加者が市長の自宅に向けて行進していたところ、同じ街区に居住している白人の夫妻が、拳銃とライフルをデモ参加者に向けて脅した。

2人が銃を構える映像が広がり、夫妻は銃使用法違反で刑事告発されたが、無罪を主張している。

夫妻に対する批判も多いが、一方で命と財産を守るための正当な行動だと支援する声もあり、夫妻は8月開催の大統領選共和党大会で、特別ゲストとして映像メッセージを発信した。

究極のカレンは、大統領選敗北を認めないドナルド・トランプ氏だとも言われる。

筆者の知人の本名カレンさんに聞いてみたところ、「子どもたちが“カレン”だって私をからかうの」と面白がっていた。

ほとんどの本名カレンさんは、自分と関係づけて気にしてはいない様子だ。

しかし、特定の白人女性のイメージと結び付けられていることから、女性蔑視や人種差別を助長するとの指摘もある。

カレンの急増は社会の分断が進み、新型コロナ感染の拡大も止まらない米国社会のストレスの噴出なのかもしれない。

(溝口健一郎・日立製作所ワシントンコーポレート事務所長)

(本誌初出 公衆の面前で過度な要求 “カレン”が増加中=溝口健一郎 20201215)

インタビュー

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月6日号

狭まる包囲網 税務調査 富裕層、暗号資産、リベート……14 国税が示す相続財産評価 “伝家の宝刀”の3基準 ■加藤 結花17 狙われる富裕層 海外口座情報は190万件超 円安で多額の為替差益に注意 ■高鳥 拓也20 海外財産 「3調書」が国税の捕捉の武器 富裕層を狙い提出義務者拡大 ■多田 恭章23 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事