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TikTok売却阻止が目的?中国の「輸出管理法」によって日本にも意外な影響があるワケ

    中国からモノを輸入する日本企業に影響も(中国・広州の南沙港)(Bloomberg)
    中国からモノを輸入する日本企業に影響も(中国・広州の南沙港)(Bloomberg)

    「産業界からは、我が国の主要貿易相手国による輸出管理の強化に懸念の声が上がっていると承知している」。

    梶山弘志経済産業相は11月17日の閣議後会見で、中国の「輸出管理法」に懸念を表明した。

    12月1日施行の同法は、中国の輸出管理法体系の「基本法」とされる。

    軍用品やデュアルユース(軍民両用)品目など、対象の戦略物資を「管理品目」と定めた上で、国家の安全保障や利益に危害を及ぼすと判断した輸入者やエンドユーザーを「規制リスト」に登録し、管理品目の取引を禁止・制限する。違反した場合には罰則もある。

    背景にあるのは、米中摩擦。その本質は技術なども包括した安全保障を巡る大国間の覇権争いだ。

    米国が技術的な優位性を維持すべく輸出・投資規制を強化したのに対し、中国も対抗措置として関連法整備を急ピッチで進める。

    TikTok売却阻止

    中国政府は同法施行に先立つ8月、2008年に公布した「輸出禁止・制限技術リスト」の改定を発表。

    対象は53の技術項目に及び、人工知能(AI)、暗号チップ、量子暗号などが輸出管理の対象として新たに追加された。

    当時、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を展開する北京字節跳動科技(バイトダンス)が米政府から安全保障を理由に、米国事業を米企業へ売却するよう要求されていた。

    そのため、同社が保有する先端技術をリストに掲載することで、売却交渉に実質的な「待った」をかける目的もあったと指摘されている。

    また、9月には「信頼できないエンティティー(事業体)リスト規定」を公布。

    中国の国家主権や安全保障に危害を及ぼしたり、正常な市場取引の原則に違反して中国の企業などとの取引を中断したり、差別的な措置を取って深刻な損害を与えた外国企業などをリストに登録し、貿易・投資を禁止・制限するとしている。

    いわば、米国が安全保障上の懸念がある事業者を登録する「エンティティーリスト」の中国版。

    通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)などが米国企業の禁輸対象となったことへの事実上の対抗措置とされる。

    輸出管理法についても、米国政府が従来の輸出規制ではカバーしきれない「新興・基盤技術」のうち、米国の安全保障にとって必要な技術を対象とした「輸出管理改革法」を成立させ、施行に向けた作業を進めていることへの対抗措置の側面もあると見られる。

    なお、根拠法は異なるものの、輸出禁止・制限技術リストおよび信頼できないエンティティーリストは輸出管理法と密接に絡んでおり、一体として捉える必要がある。

    中国の規制措置は、米国を念頭に置くとされるものの、対象国は定められておらず、その影響はすべての企業に及ぶことになる。

    日系企業としては、一連の法規制に細心の注意を払うことが求められる。

    加えて、10月29日に閉幕した中国共産党の中央委員会第5回総会(5中全会)で採択された第14次5カ年計画(2021〜25年)と35年までの長期目標の基本方針では、幅広い分野で国家の安全保障を強化する方針が明確に示された。

    今後は、こうした動向をいっそう注視していくことが不可欠だろう。

    (真家陽一・名古屋外国語大学教授)

    (本誌初出 米国に対抗した輸出管理法 日本企業にも及ぶ影響=真家陽一 20201215)

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