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FRBが追加緩和か 資産購入の増額も選択肢 さらなる株高を後押し=桂畑誠治

     12月15、16日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米連邦準備制度理事会(FRB)がコロナ禍の景気への不安を軽減させることができるかが問われており、追加の金融緩和の有無、金融緩和策の内容が注目される。選択肢としては、米国債など資産購入のガイダンス(指針)の強化、資産購入額の引き上げ、国債の購入対象年限の長期化などがあり、少なくとも資産購入ガイダンスの強化が行われるとみられるが、資産購入額が引き上げられる可能性もある。

     前回11月のFOMC議事録によれば、FOMC参加者は以前に比べて金融市場の機能が改善したと考えており、資産購入の役割は緩和的な金融環境を促進させることに変化したと判断。雇用の最大化と安定的なインフレ率2%の実現という目標達成に向け、資産購入のガイダンスは現在の「今後数カ月も現在のペースで国債などの購入を継続する」と短期間の継続を示すものから、より長期間、あるいは数値条件を示す文言に変更することで、金融緩和を強化すると見込まれる。

    コロナ第3波懸念

    さらなる追加緩和に踏み切るか……(パウエルFRB議長) (Bloomberg)
    さらなる追加緩和に踏み切るか……(パウエルFRB議長) (Bloomberg)

     もっとも、パウエルFRB議長は11月30日、「景気回復のペースはここ数カ月間に鈍化し、労働市場の改善ペースは緩やかになっている」との見方を示している。11月のFOMC以降に、米国は新型コロナの感染拡大第3波に見舞われ、景気はさらに鈍化しているとみられる。また11月の連邦議会選挙の結果、ねじれ議会が継続する可能性が高くなったため、経済支援策の第5弾で合意できず、政府の経済支援策は年末に打ち切られるリスクがある。また、バイデン政権発足後の大規模な財政支援策が期待できなくなった。

     FRBはコロナ禍に直面し、量的緩和策を再開。月1200億ドルのペースで米国債や住宅ローン担保証券の買い入れを続け、資産規模は7兆ドルを突破した(図)。しかし、ドルの相対的な実力を測る実効レートは低くならず、これが貿易赤字の拡大や米製造業の競争力低下につながっている。パウエル議長はまた、新型コロナワクチンについて、有効性も含めて大きな課題や不確実性が残ると発言しており、次回FOMCでは「予防的な金融緩和」として資産購入額を引き上げる可能性がある。

     一方、金融緩和の継続・拡充に期待し、株式市場にはマネーの流入が続いている。11月下旬にはダウ工業株30種平均(NYダウ)が史上初めて3万ドルを突破したほか、米S&P500株価指数も最高値圏で推移し、日経平均株価も29年ぶりの高値水準を記録した。さらなる追加緩和が実施されれば、世界景気の下振れ回避に寄与するだけでなく、さらなる株高を後押しする公算が大きい。

    (桂畑誠治・第一生命経済研究所主任エコノミスト)

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