経済・企業不動産コンサル長嶋修の一棟両断

実質国が金利負担?コロナ禍にもかかわらず不動産が飛ぶように売れるカラクリ

    不動産市場のうち、住宅市場は相変わらず好調だ。

    2012年12月の民主党から自民党への政権交代以降、アベノミクスや日銀の異次元緩和で一直線に上げてきた東京都心3区(千代田・中央・港)の中古マンション成約単価(1平方メートル当たり)は、当時から1・9倍近く上昇した。

    東京都平均は1・6倍程度まで上がった。程度に差はあるものの、神奈川・埼玉・千葉3県も1・3倍を超える上昇をみせている(図)。

    ここまでの上昇要因はいくつかあるが、まずなんといっても民主党政権では株価同様、不動産価格も抑制されていたことの反動だ。

    「コンクリートから人へ」がキャッチフレーズだった当時の政権下では致し方なかったこともあるし、11年3月には東日本大震災という不幸が重なったことも大きい。

    その後、異次元緩和と財政出動は思いのほか資産価格を押し上げる結果となった。

    なにより低金利は不動産市場に優しい。現在、住宅ローン金利は固定で1%前後となり、変動金利に至っては0・38%(1月現在ジャパンネット銀行)といった文字通り、異次元の低金利商品もある。

    加えて住宅ローン残高の1%が税控除される「住宅ローン控除」が10年間(現在は特例で13年間)もあり、要は国から金利分を超える補助金をもらって住宅を買えるといった状態だ。

    高くない返済負担

    首都圏の新築マンション平均価格は現在6000万円程度と、グロス(総額)としては高く見えるが、仮に6000万円全額を変動金利で期間35年の住宅ローンを組んだ場合、月々の支払いは15・3万円(ボーナス払いなし)。

    年間支払い額は約183万円であり、年収700万円の世帯なら返済比率は26%程度と、無理のない水準である。

    加えて、住宅ローン控除により60万円近くが毎年、戻ってくるのだから、実質的な支払額は年間120万円台と格段に小さくなる。

    これが昨今の新型コロナウイルス禍であらゆる景気指標が悪いにもかかわらず、新築・中古、マンション・一戸建てともに売れている一番の理由だ。

    都心中古マンション成約単価は日経平均株価との連動性が高いことは以前にも書いたが、2万8000円前後という現在の株価水準が続くのであれば、成約単価がひときわ高くなることもありうる。

    これをバブルと呼ぶのかどうかは意見の分かれるところだが、要は低金利が続く限り住宅市場の好調は維持される公算が大きく、したがってこの政策がいつまで継続するかにかかっている。

    菅義偉政権は前政権の政策を継承しているが、今後政権交代があったとしても、現行の政策を大きく変える事態は考えにくいだろう。

    日米欧による多額の財政出動や金融緩和がいつまで持つのかは誰にも分からないが、コロナ禍により目先の指標が悪化すればするほど、株や不動産をはじめとする資産価格はあふれるマネーで底堅く推移し、場合によってはここからもう一段高もありうる勢いだ。

    (本誌初出 中古マンション価格は一段高も/82 20210216)


     ■人物略歴

    長嶋修(ながしま・おさむ)

     1967年生まれ。広告代理店、不動産会社を経て、99年個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」設立

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