サントリービールの挑戦 「糖質ゼロ」の機能系ビール発売 年内230万ケース出荷を目標=白鳥達哉
4月13日、サントリービールは“糖質ゼロ”の機能系ビール、「パーフェクトサントリービール」を発売する。
新製品の大きな特徴は「機能」と「ビールのおいしさ」の両立だ。同社は5年前から糖質ゼロビールの開発を始め、2019年には業務店舗でテスト販売を行っている。しかし、糖質ゼロビールは飲み応えの部分で通常のビールに劣るという大きな課題があった。
新製品では、麦をお湯で煮詰める工程を3度行うことに加え、アルコール度数を5・5%と高めに設定することで、本来のビールらしい力強い飲み応えを引き出すことに成功。また、糖質の元となるデンプンをできるだけ細かく分解し、酵母の活性を止めずに糖質を完全に分解する独自の発酵技術を取り入れた。
同社の調査によれば、糖質ゼロやプリン体ゼロといった機能系ビール類を飲みたいという層の消費量は、約1億8000万ケース(1ケースは大瓶20本換算)。しかし、既存製品の味に満足しているのは約2200万ケースにとどまり、残る約1億6000万ケース分の市場を、今回の新製品で掘り起こしたい考えだ。
酒税改正も後押し
そもそもビール類は、ハイボールや高アルコール度数チューハイなどの人気に押される形で、消費量は減少の一途をたどる。
消費量の目安となる国税庁の酒税課税等状況表によれば、ビールは1994年度をピークに右肩下がりを続けており、18年度時点で94年度の約3割にまで落ち込んでいる(図)。20年度は新型コロナウイルスの流行もあり、業務用ビールの消費量を中心にさらに減少するとみられる。
一方で、新型コロナの流行で在宅での飲酒が広がるなか、健康志向が高まりをみせ、機能系ビールの需要に注目が集まっている。また、20年10月には、酒税法の改正でビールが350ミリリットル当たり7円の値下げとなり、ビール類市場に二つの追い風が吹く今が、発売のチャンスだったという。
広報担当者は、「価格はモルツと同程度の200円弱(350ミリリットル1缶当たり税抜き)、年内に230万ケースの出荷を狙う」としている。
(白鳥達哉・編集部)