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ホンダの“いばらの道” 着手早々にコロナが直撃 四輪車改革の狂った目算=河村靖史

    「次世代技術への投資は何としてもやっていく」と強調するが……(八郷隆弘ホンダ社長)
    「次世代技術への投資は何としてもやっていく」と強調するが……(八郷隆弘ホンダ社長)

     構造改革に取り組むホンダを新型コロナウイルスの影響が直撃している。最大の課題として位置付ける収益性の低い四輪車事業の立て直しに注力していた矢先、新型コロナの世界的な感染拡大によって工場が相次ぎ稼働停止。2020年1〜3月期の連結営業損益は赤字に転落した。21年3月期も厳しい状況が続くと見込まれ、立て直しは容易ではない。

     ホンダが5月12日に発表した20年3月期連結の純利益は前期比25%減の4557億円となり、売上高も6%減の14兆9310億円に。特に20年1〜3月期の急激な業績悪化が響き、この期の連結営業損益は前年同期の423億円の黒字から56億円の赤字に転落した。四輪車や二輪車の販売減少や米国での失業者増加に伴うローンの貸し倒れ引当金積み増しなど、新型コロナ関連の減益影響は1300億円にものぼる。

     ここ数年のホンダの収益構造は収益率の低い四輪車事業を、世界トップシェアの二輪車事業でカバーすることで全体を成長させてきた。この構造を変えるため、四輪車事業の改革に着手し、英国やトルコの工場の閉鎖による生産能力削減を決定。今年4月には開発効率化を目的に、子会社の本田技術研究所から量産四輪車の開発をホンダ本体に移管し、創業者の本田宗一郎氏らが生んだ「聖域」にもメスを入れた。

    開発投資も重荷に

     これら「四輪車事業を中心に盤石化する取り組み」(八郷隆弘ホンダ社長)によって、他社と比べても低い四輪車事業の利益率を改善する計画だったが、想定以上に業績が悪化していることで、四輪車事業の立て直しが厳しい状況に置かれている。自動車産業は自動運転や電動化など、次世代技術の開発に多額の投資を強いられており、これが経営の大きな負担となっているためだ。

     5月12日時点で全世界の工場の稼働状況は四輪車が7割、二輪車が5割の水準で、アジアの工場を中心に稼働停止が長引いていることが影響している。また、新車販売も急激に落ち込み、四輪車事業の20年1〜3月期の営業損益は756億円の赤字だった。さらに頼みの綱である二輪車事業も19年4〜12月期まで14・0%だった営業利益率が13・4%にまで低下した。

     ホンダは21年3月期の業績見通しを算定が困難として「未定」としている。二輪車、四輪車でグローバルに事業を展開しているだけに新型コロナウイルス問題の終息に時間がかかれば、業績にさらに深刻な影響が及ぶのは避けられない。かといって大きな負担となっている研究開発費を簡単には削減できない。新型コロナウイルスという未曽有の事態に、ホンダは厳しい経営のかじ取りを迫られている。

    (河村靖史・ジャーナリスト)

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