特需に乗り「平成超え」へ 米関税と消費増税が“峠”=岡田英/白鳥達哉
5月1日、令和時代が幕を開けた。平成は昭和天皇の崩御に伴う改元だったのに対して、今回は祝賀ムードが強い。それを象徴するのが2024年度上期をめどに行われる「紙幣一新」だ。「21年の500円硬貨刷新も含めると経済効果は約1.6兆円」(第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミスト)。関連産業への広がりを含めると約3.5兆円の経済効果があるという。ただ「発行後2年の経済成長率の押し上げ効果は年0.1%ポイント程度」(同)と特需としては小粒だ。
より期待が大きいのは「W杯・五輪・万博」の超大型イベントラッシュだ。直接・間接の波及効果は、今年9~11月のラグビーW杯で約4400億円、来年の東京五輪で約32兆円、25年の大阪・関西万博で約2兆円とも試算される。五輪特需はメイン会場の新国立競技場などの建設から広告・警備といったサービス分野に浸透。都市開発も東京都心の大型案件が途絶えず、25年の大阪・関西万博による特需も視野に入ってきた。
だが、水を差しかねないリスクもある。一つはトランプ米大統領がちらつかせる自動車関税。発動となれば日本全体への打撃となるのは必至だ。もう一つは10月に予定される消費増税だ。政府は現金を使わずに買い物をした人への最大5%のポイント還元などの経済対策を打つが有効性は未知数。景気が下振れる可能性がある。
令和には人口減少、高齢化も加速。経済協力開発機構(OECD)は3月の経済成長見通しで日本の19年の成長率を前回予測の1%から0.8%に下方修正した。それだけに特需への期待は大きい。
その波に乗り、関税と増税という当面の“峠”を乗り越えることができれば、令和は経済成長で平成を超える可能性も出てくる。
(岡田英/白鳥達哉・編集部)