歴史書の棚
掲載記事 288件
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「嫉妬」を制御するイタリアの特異な三角関係=本村凌二
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人間の感情のなかで「嫉妬」というのは、なかなか制御しにくい。 18世紀のイタリア貴族社会の生活風俗を描いたロベルト・ビッツ…
2019年5月10日
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楠公再評価の一方で、冷静な実証分析が登場=今谷明
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第二次大戦中、軍隊では、上官に「貴様は出身地はどこか」と問われ、「栃木県足利市です」と答えようものなら、鉄拳制裁に遭う、と…
2019年5月3日
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不安と厭世観が漂う「戦間期」の日中関係=加藤徹
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「戦間期」は重い。第一次世界大戦と第二次世界大戦のはざまの、嵐の前の静けさの時代。第一次大戦が残した問題や、もやもや感、不安…
2019年4月19日
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元号は国民と共に 令和時代は文化国家へ=井上寿一
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新しい元号は令和と決まった。5月1日から令和の時代が始まる。所功・久禮旦雄・吉野健一『元号 年号から読み解く日本史』(文春…
2019年4月12日
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多文化・異文化問題で歴史の先例を読む=本村凌二
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時計まわりでたどれば、ロシア、リトアニア、ベラルーシ、ウクライナ、スロバキア、チェコ、ドイツに囲まれた国、それがポーランド…
2019年4月5日
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誤解された元号擁護者 津田左右吉を読む=今谷明
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改元が間近に迫っている。 現在の元号は、1979年に成立した「元号法」によるもので、「元号は、皇位の継承があった場合に限り…
2019年3月29日
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新ビジョン構築に向け日本人の中国観を検証=加藤徹
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中国が嫌いな人でも、今や中国が世界の大国となったことは否定できまい。一方、漢詩や漢文など中国の文化的伝統へのあこがれが衰退…
2019年3月22日
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「持たざる国」日本はどう延命するべきか=井上寿一
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世界は今どのような時代を迎えているのか。片山杜秀『新冷戦時代の超克 「持たざる国」日本の流儀』(新潮新書、740円)は「新…
2019年3月15日
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江戸と似た古代ローマに信仰を貫く葛藤を読む=本村凌二
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英米系の学者から日本人作家の小説を推してくれと頼まれたことがある。私が挙げた数冊の中でも、江戸時代のキリシタン弾圧下の司祭…
2019年3月8日
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明治の暗部に切り込み、全国社寺を踏破した労作=今谷明
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廃仏毀釈(きしゃく)とは、明治新政府によって出された神仏分離令を実施する過程で過熱化して広まった民衆の運動である。その意味で…
2019年3月1日
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中国史と古典から教養、話術を学ぶ入門書=加藤徹
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私が中学生だったとき、朝礼が楽しみだった。校長先生は訓話の達人だった。毎回、話は3分以内。それでいて面白い。大人の社会の奥…
2019年2月22日
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皇室外交の役割に平成という時代を読む=井上寿一
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平成時代が終わる。新しい時代が始まる。平成とはどのような時代だったのか。平成とは昭和における戦争と平和をめぐる未解決の諸問…
2019年2月15日
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同名同期刊の珍事? 「乱」の復元を読む=今谷明
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呉座勇一氏の『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(中公新書、900円)が爆発的に売れて以来、中世の戦乱ものの本が多く出されて…
2019年2月8日
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民主主義の根幹である議会はいかに発展したか=本村凌二
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議会と訳される言葉だが、世界各地に目をやると、いろいろな名称がある。イギリスとその元植民地の国々ではパーラメント(Parl…
2019年2月1日
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李白や杜甫より柔らかい もう一人の詩人の存在=加藤徹
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12世紀の東アジアは、文と武、中心と周辺の力関係が逆転した、激動の世紀だった。日本は平安時代が終わり、鎌倉時代になった。中…
2019年1月25日
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通信の専門家が読み解く真珠湾攻撃の真実=井上寿一
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1941年12月8日の真珠湾攻撃の際の対米最終通告の遅延によって、日本はひきょうなだまし討ちの汚名を着せられることになった…
2019年1月18日
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歴史書の棚 渡来氏族と神社草創 新たな視点で見る日本史=今谷明
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渡来人(帰化人)と神社草創の関係は、古代史に限らず興味深い問題である。評者のように京都で生まれ育った者には、秦氏(はたうじ)…
2019年1月11日
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言語、遺品等痕跡を精査 文明史の起源に迫る=本村凌二
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歴史の闇に消された人々がいる。一つは為政者にとって都合の悪い集団であり、もう一つは民衆が記憶しておきたくない集団である。ナ…
2018年12月28日
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歴史書の棚 儒教の本質に迫る「塾」としての快著=加藤徹
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古代中国では、屋敷の門の両脇にある小屋や部屋を「塾」と呼んだ。来客はまず「塾」で待機し「殿堂」にいる主人に謁見する心の準備…
2018年12月21日
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日中歴史共同研究の成果 誠実に反映した信頼の書=井上寿一
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日本人の平均的な感覚として、日本は先の大戦でアメリカに敗けたのであって、中国に敗けた実感がないのではないか。そうだからこそ…
2018年12月14日
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歴史書の棚 「天下人」をめぐる痕跡 今日に残る東西分派=今谷明
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一向宗(浄土真宗)の本山・本願寺はなぜ東西に分かれているのか。京都では誰怪しむ者なく、“お東さん”“お西さん”の愛称で呼びな…
2018年12月7日
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歴史書の棚 現代人には想像外 暴力と欲望の歴史=本村凌二
書評 歴史書の棚
16世紀には地球規模で商業が活発になり、東アジアでも明(みん)の海禁に反して貿易を営もうとする内外の勢力が出没した。周縁海…
2018年11月30日
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歴史書の棚 中国では出版不可能? 激越な神話解体を読む=加藤徹
書評 歴史書の棚
オルドス高原は、黄河上流の「π(パイ)」字形の屈曲部にある。エーデルワイスの花が咲く、遊牧民族にとっては豊かな楽園だった。…
2018年11月23日
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歴史書の棚 多角的な日米安保体制へ 是正と新たな構築問う=井上寿一
書評 歴史書の棚
戦後長らく左右両翼、リベラルと保守の両政治勢力から政府の「対米従属」姿勢が批判され続けた。今もそうである。石原慎太郎『日本…
2018年11月16日
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歴史書の棚 個人に権力集中させない日本的合議制の知恵=今谷明
書評 歴史書の棚
1964年、駐日米大使のエドウィン・O・ライシャワー(前ハーバード大教授)は、「日本近代の新しい見方」と題して『朝日ジャー…
2018年11月9日
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歴史書の棚 ヨーロッパ中世都市の形成を活写した名著復刻=本村凌二
書評 歴史書の棚
ピレンヌ・テーゼというのをご存じだろうか。ヨーロッパ世界は、8世紀にイスラム勢力が地中海の西部まで進出したのを契機として、い…
2018年11月2日
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歴史書の棚 不老不死求める「煉丹術」 東洋の思想や文化に影響=加藤徹
書評 歴史書の棚
『西遊記』の初めの話。孫悟空は暴れん坊だった。天界の老子の部屋にしのびこんだ孫悟空は、大量の「金丹」を盗み食いし、不老不死に…
2018年10月26日
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『評伝 小室直樹(上・下)』不遇からメディアの寵児へ 敬慕に満ちた渾身の評伝=井上寿一 歴史書の棚
書評 歴史書の棚
村上篤直『評伝 小室直樹(上・下)』(ミネルヴァ書房、各2400円)は、社会科学の一般理論の構築をめざした「過激な天才」小…
2018年10月19日
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歴史書の棚 「署名」か「はんこ」か 印判に見る出色の日本人論=今谷明
書評 歴史書の棚
親族の一人でも亡くなると、その後の手続きは面倒なことになる。署名には多く実印を求められるから、印鑑登録から始まり、印鑑証明…
2018年10月12日
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『バビロンとバイブル』がQ&Aでつづる思考と語りの魅力=本村凌二
書評 歴史書の棚
歴史書の棚 質問&回答形式でつづる思考と語りの魅力=本村凌二 このコラムではなるだけ新刊に近い歴史書の紹介に努めている。でも…
2018年10月9日
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歴史書の棚 『老子』は日本史の伏流水 画期的視座を提出=加藤徹
書評 歴史書の棚
古代中国の思想書『老子』は、漢文の原文でわずか5000字程度の短い古典である。入門者向けのミニマムな訳解書なら、薄い文庫本1…
2018年10月1日
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歴史書の棚 戦前の昭和史を軍人の評伝から再構成=井上寿一
書評 歴史書の棚
昭和戦前史における最大の悪役が軍人であることは、いうまでもないだろう。国を誤らせたのは軍人だと考える人は多い。筒井清忠編『…
2018年9月25日
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歴史書の棚 マーケットvs幕府 江戸に学ぶ資本主義の攻防=今谷明
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先日大きな地震のあった大阪府北部、茨木市の北方に「石堂(いしどう)ケ岡」という標高約700メートルの低山がある。高さはない…
2018年9月18日
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歴史書の棚 未来国家のモデルとして「偉大なる小国」に学ぶ=本村凌二
書評 歴史書の棚
江戸幕府の鎖国体制で唯一通商を認められたオランダなのに、幕末・維新期の欧米列強の進出と共に日本人には影が薄くなってしまった…
2018年9月10日
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歴史書の棚 文革の暗黒面を暴くオーラルヒストリー=加藤徹
書評 歴史書の棚
中国政府にとって「文化大革命」の暗黒史と民族対立は、今もタブーである。楊海英『「知識青年」の1968年 中国の辺境と文化大…
2018年9月3日
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歴史書の棚 憲法制定や外交を分析、国家の自立を問う=井上寿一
書評 歴史書の棚
細谷雄一『戦後史の解放2 自主独立とは何か 前編・後編』(新潮選書、各1300円)は、日本の国際政治学における現実主義学派…
2018年8月27日
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歴史書の棚 至宝はなぜ流出したか 裏面を語る異色の美術史=今谷明
書評 歴史書の棚
酷暑の中、書店へ押して出かけてみると、歴史書は大変多く、選定にいささか苦労した。しかし戦国大名ものなど類書がいくつかあり、…
2018年8月20日
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歴史書の棚 今日の米社会に与えるニーチェ思想の影響=本村凌二
書評 歴史書の棚
「神は死んだ」とはニーチェの名高いせりふである。なるほど『ツァラトゥストラかく語りき』や『権力への意志』は圧倒的な力でみずか…
2018年8月6日