歴史書の棚
掲載記事 288件
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日米地位協定と在日国連軍を素材に日本の国家主権を考える 井上寿一
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先の自由民主党総裁選挙において日米地位協定の見直しに言及した石破茂候補が首相となった。石破首相は、相手国の大統領選挙が終わ…
2024年11月22日
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時の為政者が利用してきた中国の“孔子”ブランドを米人作家がルポ 加藤徹
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マイケル・シューマン著、漆嶋稔訳『孔子復活 東アジアの経済成長と儒教』(日経BP、3300円)は、東アジアにおける孔子の影…
2024年11月15日
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登場する人物121人! 西洋史の裏話満載の一冊 本村凌二
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歴史書は不思議なもの。同時代の者が書いたら史料として役立つし、後世の人が書いても過去の知識として重宝する。それに、時代を経…
2024年11月1日
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伊勢北畠氏の戦国大名化にみる“権門”から“封建”への社会変化 今谷明
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飛騨(ひだ)・伊勢・土佐の三カ国は、室町時代には“三国司(さんこくし)”と呼ばれて、武家ではなく公家出身の大名が統治してい…
2024年10月18日
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70年代の自民党内にあった政治集団はなぜ挫折したのか 井上寿一
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自由民主党の総裁選挙は、9人の候補者によって競われた。メディアは選挙戦を詳細に追った。同じ政党に所属する候補者とは思えない…
2024年10月4日
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マルコ・ポーロ没後700年の節目に『東方見聞録』を“味わう” 加藤徹
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マルコ・ポーロ(1254~1324年)が故郷のベネチアを出発し東方へ旅立ったのは1271年。ユーラシアを3年かけて横断し、…
2024年9月27日
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著者の『吾妻鏡』の捉え方に疑問 歴史学者の奮起を促す 今谷明
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古代史における『日本書紀』をはじめ「六国史」に相当するような史書は中世には存在しない。平安時代には古記録として公卿(くぎょ…
2024年9月13日
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大部の『拝謁記』のブックガイドで象徴天皇制を考える 井上寿一
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田島道治著『昭和天皇拝謁(はいえつ)記 初代宮内庁長官田島道治の記録』全7巻(岩波書店、各3300円、第6巻のみ3520円…
2024年9月6日
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『西遊記』のムック本登場 数奇な歴史と尽きぬ魅力 加藤徹
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中国史のスケール感は、ムック本と相性がよい。大判なので、広大な風景の写真は迫力がある。地図も大きくて見やすい。図版を軸とし…
2024年8月30日
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京都の“最有力”12社を糸口に古代の政治と社会を論じる 今谷明
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元来、日本人は山岳や岩石などの自然物を崇拝の対象としていた。日光の男体山や富士山などその典型である。大和の大神(おおみわ)…
2024年8月16日
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戦争の記憶の継承と学ぶことに終わりはない 井上寿一
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日本の夏は戦争の記憶をよみがえらせる季節でもある。年を追って戦争の直接的な体験者が減る。戦争の記憶の風化の危機が叫ばれて久…
2024年8月2日
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皇帝でも政権でもない「中国」にこそ仕えた10世紀の宰相 加藤徹
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10世紀の五代十国時代は、空前絶後の乱世だった。唐の滅亡後、わずか半世紀のあいだに中国の中央では後梁・後唐・後晋・後漢・後…
2024年7月26日
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05年刊『黒字亡国』(三国陽夫著) 日本が陥った経常黒字の罠 編集部
旧刊再読
黒字は善、赤字は悪──民間企業の経営における概念が、国際収支統計では通用しない。 国際収支統計とは、対外的な取引を体系的に…
2024年7月19日
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史学でなく文学者による脱藩者・頼山陽の本格評伝 今谷明
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江戸時代には脱藩という不穏な試みで学者になった者が多い。近江聖人とうたわれた中江藤樹、18世紀後半に正確な暦を作った天文学…
2024年7月5日
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なお東大が学歴の頂点である中、一兵卒として戦死した東大出身者に注目 井上寿一
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東京大学の授業料の値上げが議論になっている。学内での賛否はともかく、学部の大学(とくに私立大学)の関係者が値上げを是とする…
2024年6月28日
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最新の考古学的知見からチンギス・カンの魅力的な人物像を提示 加藤徹
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白石典之『元朝秘史 チンギス・カンの一級史料』(中公新書、1100円)は、モンゴル考古学の専門家である著者が、歴史や地理に…
2024年6月21日
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実は身近にあるラテン語 名言・名句の宝庫 本村凌二
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高校生のころ、『大学でいかに学ぶか』(講談社現代新書)という本を読んだことがある。当時一橋大学の学長だった増田四郎先生が書…
2024年6月14日
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幼少から目利きの渋沢栄一 日本経済の近代化に貢献 今谷明
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幕末、“黒船来航”に見舞われてからの日本は、植民地化の危機にさらされた。その危機を回避すべく、幕府と各藩は、数百人の留学生…
2024年5月31日
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日露英中の史料を駆使した高度な実証作業で日ソ戦の全体像を描く試み 井上寿一
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2022年に始まったウクライナ戦争は今も続いている。日本はこの戦争の直接の当事国ではない。しかしロシアあるいはソ連と戦争を…
2024年5月24日
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現役政治家の「李白」評伝にみなぎる独特の英気 加藤徹
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海江田万里『李白 その詩と人生』(アジア太平洋観光社、2500円)は、唐の漢詩人・李白(701~762年)の作品と生涯を、…
2024年5月17日
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荷風や藤村らを虜にしたパリの魅力を元仏大使の目で描く 本村凌二
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いま出ている『テルマエと浮世風呂』(NHK出版新書)は古代ローマと大江戸日本の比較史なのだが、以前その出版を別の出版社に持…
2024年5月3日
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道路の変容から歴史の裏面をたどる視点に独自性 今谷明
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今回は、前近代におけるインフラ整備関係の著作を取り上げよう。金田章裕著『道と日本史』(日経プレミアシリーズ、1100円)は…
2024年4月19日
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自立外交のためにも国内政治の「戦後」を終わらせよ 井上寿一
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日本現代史に関連する二つの著作を紹介する。どちらもおいそれとは手を出せない。700ページ前後の大部である。価格も1万円に近…
2024年4月5日
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19世紀末の中国庶民生活を当時の“B級雑誌”を素材に活写 加藤徹
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歴史は立体的だ。大所高所から見渡す大局的な目線と、庶民の草の根的な目線の、両方が必要だ。 相田洋『中国生活(くらし)図譜 …
2024年3月29日
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ローマ「帝国」の芽生えをイベリア半島支配に求めた書 本村凌二
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なぜローマ人だけがあの巨大な帝国を築くことができたのか、誰もが興味をそそられる問題である。この大問題をめぐって、宮嵜(みや…
2024年3月22日
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三井文庫に勤める著者が三井両替商の実態を活写した渾身の一冊 今谷明
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近世の大坂は、北陸と西日本の米穀が集まり、その代金である貨幣も集中して“天下の台所”と称された一大経済都市であった。米市場…
2024年3月8日
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反自民はなぜ弱いのか 約30年の参与観察の記録 井上寿一
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内閣支持率が最低を更新して14%になった(毎日新聞の2月の世論調査)。「政治とカネ」の問題に起因していることは明らかだろう…
2024年3月1日
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過去を書くという「認識行為=歴史」の歴史がまた面白い 加藤徹
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今から2000年以上前、歴史家の司馬遷は、自分が生きた前漢の武帝の時代を書くため、太古にさかのぼって筆を起こし歴史書『史記…
2024年2月23日
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西欧中世の「書き写す」文化が写本に集積させた無名の個人史の豊かさ 本村凌二
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一昔前、大学生に化学の学習をさせるには「要点や化学式を黒板に書く」ことだと教師から聞いたことがある。ところが10年以上前か…
2024年2月9日
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古代から近世末に及ぶ陰陽道史の近来に例を見ない好著 今谷明
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陰陽道(おんみょうどう)は、大陸渡来の卜占(ぼくせん)(占い)の技術である。古墳時代後期には百済(くだら)経由で日本に伝来…
2024年2月2日
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21世紀最初の20年間の多様な日中関係を徹底検証 井上寿一
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2024年は内憂外患の年として始まったかのようである。元日の能登半島地震、翌2日の航空機事故、国内では天災、人災が連続して…
2024年1月26日
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グローバルヒストリーから観た大英帝国史 本村凌二
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40年ほど前、初めてイギリスを訪れたとき、なんてなじみやすい国だろうと思った。「人は右、車は左」だし、郵便ポストは赤いし。…
2024年1月12日
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“南”の視点で語る中国史が「一つの中国」に再考迫る 加藤徹
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従来の中国史は「北」にかたよっていた。太古の黄河文明も、春秋戦国時代の「中原(ちゅうげん)」も、唐の都・長安も、13世紀以…
2023年12月29日
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大河ドラマ「光る君へ」で注目 平安貴族の実像に迫る二冊を読み比べ 今谷明
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2024年NHKの大河ドラマ「光る君へ」の主人公が紫式部だというので、平安朝の女房文学に関心が集まっている。確かに『栄花(…
2023年12月15日
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自民党優位の現在地“ネオ55年体制”までを分析 井上寿一
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報道各社の世論調査によれば、岸田文雄内閣の支持率は「危険水域」の20%台にまで落ち込んでいる。来年には自民党の総裁選が控え…
2023年12月8日
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中国の理解に欠かせない「龍」の世界を堪能する 加藤徹
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来年は辰年。池上正治『龍の世界』(講談社学術文庫、1265円)は、年賀状の龍の絵を探している人にもお勧めだ。本書は2000…
2023年11月24日
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狭く痩せた土地で民主政はどう育まれたか 本村凌二
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ギリシャ語を話しオリンポスの神々を信仰する人々の土地は痩せて狭いから、小麦の生産高は低い。そのなかで、いかにして民主政が生…
2023年11月10日
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中世が選んだ権力の構図とは王威・法威・武威の相互補完的関係か 今谷明
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武家(幕府)と天皇が並立していた問題は、日本中世史学界において長い間、一種の謎とされてきた。昭和から平成への代替わりの頃、…
2023年11月3日
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政党政治に対する信頼の重要さを戦前昭和のテロから読み取る 井上寿一
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10月13日に政府は旧統一教会に対する解散命令を東京地方裁判所に請求した。昨年7月8日の安倍(晋三)元首相銃撃事件の影響の…
2023年10月27日
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皇帝2代で急成長して滅んだ帝国・隋 トップダウン式ゆえのあっけなさ 加藤徹
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日本人にとって隋は印象が薄い。遣隋使の小野妹子(おののいもこ)の国書を見た隋の煬帝(ようだい)が激怒した、くらいしか知らな…
2023年10月20日
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古代ギリシャの価値を再発見した古典的名著 本村凌二
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ブラックホールの発見者ホーキング博士の講演によれば、宇宙空間には人間のような高度な文明を備えた生物のすむ惑星が200万個は…
2023年10月13日
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江戸時代には実利的学問とは別に遊技的学問が開花した 今谷明
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近世(江戸時代)の日本は鎖国によって西欧との交流が閉ざされ、自然科学の面で大きな後れを取ったと見られがちである。しかし、京…
2023年9月29日
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関東大震災100年 助け合いや財界の責任について学ぶ 井上寿一
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今年の9月1日で関東大震災の発生から1世紀がたつ。この1世紀の間も震災は絶えることがなかった。12年前には東日本大震災が起…
2023年9月22日
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前半ばかり注目されてきた三国志の後半を描く歴史小説 加藤徹
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三国志の乱世は184年から280年まで、約100年続いた。小説や映画、漫画の『三国志』は、100年の乱世の前半だけを取り上…
2023年9月8日
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今後の歴史学の中核は“社会史”と“心性史”だ 本村凌二
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じっくり考えてみれば気がつくことだが、「歴史学」とは厄介な学問ではないだろうか。自然界の成り立ちを探究する物理学には「真実…
2023年9月1日
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正統性とは何か? 南北朝めぐる明治末の事件を読む 今谷明
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1910年の大逆事件と前後して起こった“南北朝正閏(せいじゅん)問題”は、明治末期の学界だけでなく、広く教育界、メディア、…
2023年8月25日
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ショーケンと水谷豊の自伝にアメリカの光と影を読む 井上寿一
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1970年代に20歳前後だった若い男たちにとって、テレビドラマの「傷だらけの天使」(74年10月~75年3月放送)は、人生…
2023年8月18日
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夏バテと怪談の季節に中国の医学史/神話史の本を 加藤徹
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10年に1度の猛暑。夏バテの病気予防や、暑気払いの怪談話などへの関心がおのずと高まる。今回は、医学史と神話史の2冊を取り上…
2023年8月4日
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古代ローマ人の「企業化の才能」は現代日本人にもある 本村凌二
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『完全版 ローマ人への質問』(塩野七生著、文春新書、935円)は、同著者による大作『ローマ人の物語』がローマ人の家に表玄関か…
2023年7月28日
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漢字仮名交じり文までの類いまれな日本“読み書き”史 今谷明
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前近代において、日本人一般の識字率がきわめて高かったことは、キリシタン宣教師はじめ訪日外国人のほとんどが指摘していて、西欧…
2023年7月21日