歴史書の棚
掲載記事 268件
-
従来の中国史を大胆刷新 構成の妙光る新シリーズ=加藤徹
歴史書の棚
中国人が書く中国の通史は、つまらない。「中国は昔も今も一つ」「中国史は階級闘争の歴史」「現在の中国共産党が最高である」等の…
2019年12月13日
-
食生活が飛躍的に多彩に 江戸時代の楽しさ活写=今谷明
歴史書の棚
食生活の歴史の上で、江戸時代の果たした役割は大きい。平安時代、摂関家の大饗(だいきょう)から始まった饗応儀礼は、室町期の椀…
2019年12月6日
-
宇宙誕生までさかのぼる人間の壮大な歴史と限界=本村凌二
歴史書の棚
「グローバル」という言葉が口にされるようになって久しい。人間、物資、情報が地球規模で交換・交流されるようになり、昨今、世界史…
2019年11月29日
-
近代日本政治史研究の第一人者による名著復刻=井上寿一
歴史書の棚
岡義武『転換期の大正』(岩波文庫、1070円)、同『近代日本の政治家』(岩波文庫、1070円)は名著復刻と呼ぶべきだろう。…
2019年11月22日
-
類例ない特異な中国史 農村の目線から読解=加藤徹
歴史書の棚
建国70年を迎えた中国は今も「二元社会」である。中国の中には都市部と農村部という二つの国がある。浜口允子(のぶこ)『現代中…
2019年11月15日
-
綱吉の「生類憐みの令」「動物愛護」説に痛棒=今谷明
歴史書の棚
将軍徳川綱吉の「生類憐(あわれ)みの令」といえば、誰でも知っている。江戸西郊の中野や大久保、四谷に広大な犬小屋を建てて収容…
2019年11月8日
-
疫病と戦った西洋医療がインドに与えた変化と忌避=本村凌二
歴史書の棚
21世紀の先進諸国では、流行病といえば冬季のインフルエンザぐらいで、それも死にいたる者はきわめて少ない。流行病あるいは疫病…
2019年11月1日
-
今後警戒するべきは右傾化より分極化=井上寿一
歴史書の棚
リベラル勢力は安倍(晋三)長期政権下で日本の「右傾化」が進んでいると批判する。本当だろうか。考える手がかりを求めて、塚田穂…
2019年10月25日
-
日中協働を育成した4人の日本人の姿を描く=加藤徹
歴史書の棚
「コメモレイション」という言葉がある。未来に語り継ぐべき人物や歴史的な出来事を、記念・顕彰する行為を指す。記念碑や記念館、記…
2019年10月18日
-
空間政策の観点で見た豊臣秀吉の天下統一=今谷明
歴史書の棚
幼児虐待や京都アニメーションの放火事件など、物騒な殺人事件が頻発している。インバウンド(訪日外国人旅行)の盛行とは逆に、日…
2019年10月11日
-
歴史書の棚 世界で最も危険な国には豊かな古代世界があった=本村凌二
歴史書の棚
1970年代にアフガニスタンを旅した友人が言っていたことが心に残っている。「貧しい国だが、あんなにのどかで穏やかな国はなか…
2019年10月4日
-
世界史の中で再構成した日本近現代史を読む=井上寿一
歴史書の棚
日本近現代史に関する本は書店にあふれている。それらの本を手にする動機も人それぞれである。ある人は自身の歴史観を補強してくれ…
2019年9月27日
-
神格化された作曲家 今こそ真の再評価を=加藤徹
歴史書の棚
現代の中国では「人民の音楽家」として絶対的な存在が2人いる。1人は国歌の作曲者で日本の鵠沼(くげぬま)海岸で溺死した聶耳(…
2019年9月20日
-
内閣情報調査室とは何か 実際と謎に迫る2冊=井上寿一
歴史書の棚
日本版CIA(米中央情報局)の別名を持つ内閣情報調査室(内調)は謎のベールに包まれているかのようにみえる。実際には内調の主…
2019年9月13日
-
練達の訳者しかできないモンテーニュの入門書=本村凌二
歴史書の棚
19世紀末に出たH・G・ウェルズ『タイム・マシン』は、過去にも未来にも時間を自由に行き来できるという夢を広げた。定めなき未来…
2019年9月6日
-
「頼む」に着目して分析 新たな視座示す日本人論=今谷明
歴史書の棚
ハッサクといえば、今では大型の夏みかんの一種を指すが、もとは八朔と書き、8月1日の行事を意味していた。この日に、従者は主人…
2019年8月30日
-
三国志研究に新機軸 歴史書の在り方問う=加藤徹
歴史書の棚
『三国志』を研究する学者の世界は、まさに“三国志的”だ。文学研究者、歴史研究者、文化研究者の三つの学派が、魏・呉・蜀の三国の…
2019年8月23日
-
元号と政治は無縁でない 時々刻々の舞台裏明かす=井上寿一
歴史書の棚
新元号「令和」の発表はぎりぎりまで、毎日新聞「代替わり」取材班『令和 改元の舞台裏』(毎日新聞出版、1000円)によれば、…
2019年8月16日
-
記録に記憶が影落とす 同時代史の面白さ=本村凌二
歴史書の棚
昨年3月末、早大を定年退職した折、私の最終講義は「ネロ帝と裕次郎」。ローマの歴史家タキトゥスの少年時代はネロ帝の治世、私の…
2019年8月2日
-
新一万円札に登場決定 若き日の渋沢栄一を活写=今谷明
歴史書の棚
福沢諭吉と交代して、新1万円札の肖像に渋沢栄一が決定した。偽札防止と印刷局の技術革新のためというのが交代の主な理由のようだ…
2019年7月26日
-
驚異的な速度で著作続々 「古典中国」の渡邉義浩氏=加藤徹
歴史書の棚
書評を書くのが追いつかない驚異的な速度で、良質な著作を続々と出す学者がいる。「古典中国」を専門とする早稲田大学の渡邉義浩教授…
2019年7月19日
-
日米安保と憲法第9条は「共存」しうるのか=井上寿一
歴史書の棚
6月29日のG20大阪サミットの閉幕後の記者会見において、アメリカのトランプ大統領は、日米安全保障条約の廃棄の可能性につい…
2019年7月12日
-
多文化混在の孤高の島 シチリア史を堪能する=本村凌二
歴史書の棚
第二次大戦後、イタリア映画はひときわ輝いていた。なかでもヴィスコンティ監督「山猫」は傑作中の傑作といえるほど観客を魅了した…
2019年7月5日
-
巫女を通じて全貌に迫る伊勢神宮理解の入門書=今谷明
歴史書の棚
伊勢神宮は、皇室の先祖神である天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀(まつ)った大社で、明治以前では「神宮」といえば伊勢神宮…
2019年6月28日
-
能楽師が読み解くスリリングな『論語』=加藤徹
歴史書の棚
安田登『すごい論語』(ミシマ社、1800円)は、知的な興奮と躍動感に満ちた対談集だ。 著者はプロの能楽師である。能と『論語…
2019年6月21日
-
現代の起点の大正時代に生存権の出発を読む=井上寿一
歴史書の棚
平成から令和へ、時代が移り変わる時、別の時代の時を思い起こす。たとえば明治から大正へ、どのように時代は移り変わったのか。こ…
2019年6月14日
-
作家にして研究者が描く傲岸不遜なドゴール評伝=本村凌二
歴史書の棚
パリに空路で向かえば、シャルル・ドゴール空港に着く。同名の人はもう半世紀前にフランス大統領を辞任し、翌年に逝去した。若者に…
2019年6月7日
-
武士団が台頭した時代の経過、伝承まで綿密に分析=今谷明
歴史書の棚
桓武平氏の有力者・平将門が天慶(てんぎょう)2(939)年、坂東(ばんどう)諸国を荒らし回って“新皇”と称し、翌年2月、藤…
2019年5月31日
-
変化し続ける『西遊記』 ダイナミックな歴史を読む=加藤徹
歴史書の棚
中国の古典小説『西遊記』の物語は、日本でも人気がある。孫悟空が活躍する子供向けの漫画やテレビアニメは多い。そのため日本では…
2019年5月24日
-
昭和天皇含め指導者の「歴史的構想力」を問う=井上寿一
歴史書の棚
戸部良一・寺本義也・野中郁次郎編著『国家経営の本質』(日本経済新聞出版社、2000円)は、世界的転換期の1980年代に、マ…
2019年5月17日
-
「嫉妬」を制御するイタリアの特異な三角関係=本村凌二
歴史書の棚
人間の感情のなかで「嫉妬」というのは、なかなか制御しにくい。 18世紀のイタリア貴族社会の生活風俗を描いたロベルト・ビッツ…
2019年5月10日
-
楠公再評価の一方で、冷静な実証分析が登場=今谷明
歴史書の棚
第二次大戦中、軍隊では、上官に「貴様は出身地はどこか」と問われ、「栃木県足利市です」と答えようものなら、鉄拳制裁に遭う、と…
2019年5月3日
-
不安と厭世観が漂う「戦間期」の日中関係=加藤徹
歴史書の棚
「戦間期」は重い。第一次世界大戦と第二次世界大戦のはざまの、嵐の前の静けさの時代。第一次大戦が残した問題や、もやもや感、不安…
2019年4月19日
-
元号は国民と共に 令和時代は文化国家へ=井上寿一
歴史書の棚
新しい元号は令和と決まった。5月1日から令和の時代が始まる。所功・久禮旦雄・吉野健一『元号 年号から読み解く日本史』(文春…
2019年4月12日
-
多文化・異文化問題で歴史の先例を読む=本村凌二
歴史書の棚
時計まわりでたどれば、ロシア、リトアニア、ベラルーシ、ウクライナ、スロバキア、チェコ、ドイツに囲まれた国、それがポーランド…
2019年4月5日
-
誤解された元号擁護者 津田左右吉を読む=今谷明
歴史書の棚
改元が間近に迫っている。 現在の元号は、1979年に成立した「元号法」によるもので、「元号は、皇位の継承があった場合に限り…
2019年3月29日
-
新ビジョン構築に向け日本人の中国観を検証=加藤徹
歴史書の棚
中国が嫌いな人でも、今や中国が世界の大国となったことは否定できまい。一方、漢詩や漢文など中国の文化的伝統へのあこがれが衰退…
2019年3月22日
-
「持たざる国」日本はどう延命するべきか=井上寿一
歴史書の棚
世界は今どのような時代を迎えているのか。片山杜秀『新冷戦時代の超克 「持たざる国」日本の流儀』(新潮新書、740円)は「新…
2019年3月15日
-
江戸と似た古代ローマに信仰を貫く葛藤を読む=本村凌二
歴史書の棚
英米系の学者から日本人作家の小説を推してくれと頼まれたことがある。私が挙げた数冊の中でも、江戸時代のキリシタン弾圧下の司祭…
2019年3月8日
-
明治の暗部に切り込み、全国社寺を踏破した労作=今谷明
歴史書の棚
廃仏毀釈(きしゃく)とは、明治新政府によって出された神仏分離令を実施する過程で過熱化して広まった民衆の運動である。その意味で…
2019年3月1日
-
中国史と古典から教養、話術を学ぶ入門書=加藤徹
歴史書の棚
私が中学生だったとき、朝礼が楽しみだった。校長先生は訓話の達人だった。毎回、話は3分以内。それでいて面白い。大人の社会の奥…
2019年2月22日
-
皇室外交の役割に平成という時代を読む=井上寿一
歴史書の棚
平成時代が終わる。新しい時代が始まる。平成とはどのような時代だったのか。平成とは昭和における戦争と平和をめぐる未解決の諸問…
2019年2月15日
-
同名同期刊の珍事? 「乱」の復元を読む=今谷明
歴史書の棚
呉座勇一氏の『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(中公新書、900円)が爆発的に売れて以来、中世の戦乱ものの本が多く出されて…
2019年2月8日
-
民主主義の根幹である議会はいかに発展したか=本村凌二
歴史書の棚
議会と訳される言葉だが、世界各地に目をやると、いろいろな名称がある。イギリスとその元植民地の国々ではパーラメント(Parl…
2019年2月1日
-
李白や杜甫より柔らかい もう一人の詩人の存在=加藤徹
歴史書の棚
12世紀の東アジアは、文と武、中心と周辺の力関係が逆転した、激動の世紀だった。日本は平安時代が終わり、鎌倉時代になった。中…
2019年1月25日
-
通信の専門家が読み解く真珠湾攻撃の真実=井上寿一
歴史書の棚
1941年12月8日の真珠湾攻撃の際の対米最終通告の遅延によって、日本はひきょうなだまし討ちの汚名を着せられることになった…
2019年1月18日
-
歴史書の棚 渡来氏族と神社草創 新たな視点で見る日本史=今谷明
歴史書の棚
渡来人(帰化人)と神社草創の関係は、古代史に限らず興味深い問題である。評者のように京都で生まれ育った者には、秦氏(はたうじ)…
2019年1月11日
-
言語、遺品等痕跡を精査 文明史の起源に迫る=本村凌二
歴史書の棚
歴史の闇に消された人々がいる。一つは為政者にとって都合の悪い集団であり、もう一つは民衆が記憶しておきたくない集団である。ナ…
2018年12月28日
-
歴史書の棚 儒教の本質に迫る「塾」としての快著=加藤徹
歴史書の棚
古代中国では、屋敷の門の両脇にある小屋や部屋を「塾」と呼んだ。来客はまず「塾」で待機し「殿堂」にいる主人に謁見する心の準備…
2018年12月21日
-
日中歴史共同研究の成果 誠実に反映した信頼の書=井上寿一
歴史書の棚
日本人の平均的な感覚として、日本は先の大戦でアメリカに敗けたのであって、中国に敗けた実感がないのではないか。そうだからこそ…
2018年12月14日