歴史書の棚
掲載記事 288件
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オスマン帝国後宮で何が行われていたか=本村凌二
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最新研究成果と共に描く イスタンブールの旧市街を見下ろす小高い丘の上にトプカプ宮殿がある。15世紀半ば、東地中海に君臨するビ…
2022年6月3日
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実は「平安」でなかった平安時代=今谷 明
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古記録から描く庶民の生活 摂関政治や女房文学など、華美で温和なイメージがある平安時代だが、実は物騒な時代でもあった。花山上皇…
2022年5月27日
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日本に国連憲章を尊重する「熱意」と「覚悟」はあるか=井上寿一
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日本の外交は果たして国連憲章を尊重できるか 今年の3月23日、ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説を行…
2022年5月20日
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日中台で生きた音楽家・江文也。戦争に翻弄された生涯の評伝=加藤 徹
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日中台で生きた音楽家 戦争に翻弄されたその生涯 20世紀は戦争と革命の世紀だった。国境線は何度も変わり、芸術家も政治に翻弄(…
2022年5月13日
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今は消滅した小国にこそ、歴史を動かす核心がある=本村凌二
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滅亡した国家にこそ潜んでいる歴史の核心 歴史はしばしば長く続いた大国を中心にして語られる。ところが、無視されがちな小国の盛衰…
2022年4月29日
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江戸時代、世界トップレベルだった日本の科学者たちの業績を紹介=今谷 明
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医学、地理学、宇宙論… 江戸の科学者は世界水準=今谷明「鎖国」の印象が強烈なためか、近代的な学問はすべて明治以降に成立したと…
2022年4月22日
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ソ連の対日戦、シベリア抑留を検証、加害国として自国史を振り返る=井上寿一
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加害国としての自国史 新たに検証の必要 ロシアのウクライナ侵攻とソ連の対日戦は似ている。4月3日、ウクライナのゼレンスキー大…
2022年4月15日
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長い伝統を持つ儒教も、いまだ「宿題」を抱える未完成の倫理思想=加藤 徹
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倫理思想の完成形にあらず いまだ「宿題」抱える儒教=加藤徹 紀元前6世紀の孔子に始まる儒教は、現代の日本人や中国人の生き方に…
2022年4月8日
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通読できる哲学史が、待望の声に応えてついに復刊=本村凌二
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通読できる哲学史決定版が待望の復刊 哲学とは「要するに、最大限の努力で最小限の成果を上げようと研究する学問だろう」とからかわ…
2022年4月1日
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戦国時代以前の江戸はどんな場所? 知られざる歴史の解説書=今谷 明
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戦国時代以前の江戸はいかなる状況だったのか?=今谷明 江戸(現在の東京23区)の状況に関しては、古くから文献に出てくる。在原…
2022年3月25日
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「戦後」は終わっていない。空襲被害者への無関心を告発する一冊=井上寿一
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大空襲の被害者切り捨て 終わらない日本の「戦後」 戦争の記憶に関連して、8月6日や8月9日、8月15日が何の日かは説明を要し…
2022年3月18日
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中国哲学史の視座から、過去3千年の世界史を読み解く試み=加藤徹
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「人が人になる」とは何か… 古く神もいない中国哲学の地平 哲学は「動詞」である。「名詞」ではない。知を働かせ「何か?」「なぜ…
2022年3月11日
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「国家」という枠組の希薄なウクライナ史を学ぶ=本村凌二
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緊迫状況下にあるウクライナの歴史を学ぶ ウクライナはヨーロッパの東部にあり、ロシアからすれば西方にある「辺境」であった。12…
2022年3月4日
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自然崇拝や仏教の影響…… 神社は複雑な日本史を体現した建造物=今谷 明
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仏教とは性格を異にする神社社殿の形成過程 神社の建物(社殿)の沿革には謎が多い。現存する日本最古の社殿は一応、京都府の宇治上…
2022年2月25日
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韓国の自信が生んだ一時の平穏 関係悪化した日本への提言=井上寿一
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木村幹『韓国愛憎』(中公新書、946円)は、早すぎる自叙伝の形式を通して、1980年代末からの約30年間における日韓関係史…
2022年2月18日
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北京五輪の今年こそ読みたい。スポーツの視点で見る東アジア史=加藤 徹
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五輪開催年こそ読みたい 政治に翻弄された歴史 本来、スポーツは政治から自由であるべきだ。が、現実には国際大会は、生々しい政治…
2022年2月11日
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キリスト教の「正統と異端」の秘密を解き明かす古代文書群を読む=本村凌二
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異端の人々の思想を明かす「ナグ・ハマディ文書抄」 日本のキリスト教徒は人口の1%にも満たない。西洋世界のキリスト教には「正統…
2022年2月4日
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日本刀の高品質を裏付ける製鉄の歴史が今、明らかに=今谷明
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謎だった日本の製鉄史 遺跡発掘で見えた全貌=今谷明 以前、本欄で鑑賞用の見地から刀剣の本(本間順治著『日本刀』(岩波新書限定…
2022年1月28日
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列島改造、管理社会、アジア 1970年代に学ぶ=井上寿一
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今から半世紀前の1972年の日本では連合赤軍のあさま山荘事件、第1次田中(角栄)内閣の成立、日中国交正常化などのさまざまな…
2022年1月21日
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豊富な写真で全土の「抗日」テーマパークを紹介する奇書=加藤 徹
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「抗日」施設を徹底紹介 中国の歴史認識知る“奇書”=加藤徹 関上武司『中国抗日博物館大図鑑全土35施設潜入取材』(パブリブ、…
2022年1月14日
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内戦終結後も加筆。碩学によるユーゴ現代史、四半世紀ぶり全面改訂=本村凌二
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欧州変革に煽られたユーゴ 「実験国」の模索は続く ユーゴスラヴィアはなんとも遠く感じる。もともと「南スラヴ」を意味するらしい…
2022年1月7日
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庶民は参詣や山岳信仰、公家は債権者同伴。 江戸の旅行あれこれ=今谷明
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公家の旅は債権者同伴 江戸期の旅行あれこれ=今谷明 コロナ禍の社会状況の下で、「三密」を避けるためと称して“GoToトラベル…
2021年12月24日
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平成期16人の首相の実績を再検証。政治指導者の条件問う=井上寿一
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平成期16人の首相評伝 政治指導者の条件問う=井上寿一 2021年の日本政治におけるもっとも大きな出来事は、菅義偉内閣から岸…
2021年12月17日
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二千年前の中国人の24時間にタイムスリップできる1冊=加藤徹
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秦漢時代の民の生々しい一日 人間臭い「卑俗な欲得」活写=加藤徹 柿沼陽平『古代中国の24時間』(中公新書、1056円)は副題…
2021年12月10日
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有用性超えた「エコノミー」 バタイユ思想を読む=本村凌二
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戦後を代表する経済学者である宇野弘蔵先生は若い頃、東北大学に勤めていた。同僚のドイツ人の哲学者と散歩していたとき、彼から「…
2021年12月3日
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中世史研究者の想像を絶する『荘園』(中公新書)の売れ行き=今谷明
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「古気候学」の知見動員し荘園研究の新成果を紹介=今谷明 今回は伊藤俊一著『荘園 墾田永年私財法から応仁の乱まで』(中公新書、…
2021年11月26日
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歴史書の棚 列車内で大衆の声を聞く 陰影に富む時間旅行=井上寿一
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今から80年前の1941年12月8日、真珠湾攻撃が始まった。そこからさかのぼること約10年前、日米戦争の勃発、国力比較の観…
2021年11月19日
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中国史屈指の混沌時代 従来説覆し、活写=加藤徹
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中国史は統一期と分裂期の繰り返しだ。分裂期のうち、故事成語の宝庫である戦国時代や、『三国志』でおなじみの三国時代は、日本人…
2021年11月15日
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英米よりフランス! 常識を揺さぶる経済学の貢献度評価=評者・藤好陽太郎
Book Review
『フランス経済学史教養講義 資本主義と社会主義の葛藤』 評者・藤好陽太郎著者 橘木俊詔(京都大学名誉教授) 明石書店 264…
2021年11月12日
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議論百出の「ローマ帝国滅亡」にあらたな視点を提出=本村凌二
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歴史書の棚 シルクロードの視点から ローマ帝国の興亡を読む=本村凌二 ギリシャ連合軍によるトロイア崩壊、アレクサンドロス大王…
2021年11月5日
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平安時代は「平安」ではなかった! 異賊来襲の危機を描写=今谷明
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歴史書の棚 平安期の異民族襲来を詳述 武士の変遷伝える格好の史実=今谷明 ちょうど1000年前、世は平安時代の摂関全盛期の頃…
2021年10月29日
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自助努力と決意の平民宰相。没後100年の原敬に学ぶ=井上寿一
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「平民宰相」没後100年 その現実主義に学ぶ=井上寿一 第100代の内閣総理大臣が誕生した。岸田(文雄)新首相は約10年間に…
2021年10月22日
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「毛沢東主義」の混乱と惨劇を今、知るべき理由=加藤徹
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歴史書の棚 吹き荒れた「毛沢東主義」 世界中の混乱と惨劇描く 程映虹著、劉燕子編訳『マオイズム(毛沢東主義)革命 二〇世紀の…
2021年10月15日
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語源探求から歴史を学ぶ 英単語の豊富な事例解説=本村凌二
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歴史を学ぶ素材はどこにでもころがっている。言葉ひとつをとっても、語源にまでさかのぼれば、言葉にひめられた歴史が浮かび上がる…
2021年10月8日
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中世史家の「京語り」 四季の花々に託す愛憎=今谷明
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日本人と「花」といえば、門松から始まり、4月の花見、5月の菖蒲(しょうぶ)など、年中行事はたいてい花とセットで表現される。…
2021年10月1日
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歴史上の「もしも」描いた小説、マンガから見えるもの
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歴史の「もしも」を仮想し 希望見いだす力を養う=井上寿一「歴史にもしもは禁物ですが」と前置きしながら、歴史の「もしも」を語っ…
2021年9月24日
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実は中国はくみしやすい? 「思想」より「思考」を読む=加藤徹(歴史書の棚)
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「法治より人治」はなぜ? 中国人の思考法解説書=加藤徹「刃物を持った相手は危険ではありません。刃物しか使いませんから」 ある…
2021年9月10日
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インテリからエンターテイナーまで。ローマ皇帝10人の個性を解説
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皇帝たちの多彩な個性と帝国統治への影響を解説=本村凌二 アウグストゥス帝は史上まれなほど幸運な為政者だった。カエサルの後継者…
2021年9月3日
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藤原仲麻呂を中心に、奈良時代の王権をめぐる動乱を徹底解説
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役者ぞろいの反乱を軸に奈良朝史の全貌を解説=今谷明 長屋王の変(729年)から始まって藤原仲麻呂(なかまろ)(恵美押勝(えみ…
2021年8月27日
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日米開戦80周年。大東亜戦争を「複合戦争」と捉える試み
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大東亜戦争は複合戦争 まさに「複合的」に解読=井上寿一 毎年8月になると、戦争の記憶が呼び戻される。今年は日米開戦80周年で…
2021年8月20日
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教科書にも載る「昔話」は、中国共産党のプロパガンダだった
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歴史書の棚 教科書掲載の「昔話」は実はプロパガンダだった=加藤徹 小学2年生が国語の教科書で習うモンゴルの「昔話」は中国共産…
2021年8月13日
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遺された258通もの手紙から、画家ゴヤの精神世界を読む
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年代順の編集の中から画家の精神世界を知る=本村凌二 マドリードのプラド美術館を訪れると、スペインに来たなという実感がわく。と…
2021年7月30日
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実は欧州より残酷!? 下剋上こそ日本近世史の特徴=今谷明
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臣下の反逆こそが日本近世史の特徴だった 下剋上(げこくじょう)とは身分の低い者が上位者を凌(しの)ぎ、勢力を圧倒する意で、も…
2021年7月16日
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コロナ禍の歴史を記述 検証作業の基礎成す2冊=井上寿一
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コロナ禍は、ワクチン接種率の向上の一方で、オリンピック・パラリンピックの開催にともなう感染拡大のリスクを抱えていて、予断を…
2021年7月9日
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"まるで三国志? タイプライターを巡る欧・中・日の抗争史=加藤徹
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近代化の象徴としてのタイプライター抗争史=加藤徹 トーマス・S・マラニー著『チャイニーズ・タイプライター』(中央公論新社、比…
2021年7月2日
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善意の蓄積が英国の力に その歴史的背景を解明=本村凌二
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三十数年前から、毎年9月を中心に渡欧している。その大半はロンドン大学内の専門図書館でデスクワークである。これだけ立派な研究…
2021年6月25日
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膨大な史料踏破して迫る 「忍びの者」の実情=今谷明
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伊賀(現三重県西部)といえば、近江甲賀(滋賀県南部)と並んで“忍者”の里として有名である。歴史的に地味な地域であるが、古代…
2021年6月18日
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同調圧力がファシズムに戦時日本と現代の類似点=井上寿一(歴史書の棚)
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コロナ禍下の日本は戦時中を想起させる。今と当時の間には具体的にどのような類似点があるのか。大塚英志『「暮し」のファシズム』…
2021年6月11日
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戦前の飛行士を追体験 圧倒的スケールで描く中国舞台の冒険活劇
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1936年の中国が舞台 大陸の大空を舞う活劇=加藤徹 新野剛志『空の王』(中央公論新社、2310円)は、1936年の中国を舞…
2021年6月4日
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心の自由に至る道説く 奴隷出身哲学者の書
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心の自由に至る道説く 奴隷出身哲学者の書=本村凌二 ストア派の哲人皇帝マルクス・アウレリウスの『自省録』をひもとけば、皇帝が…
2021年5月28日