歴史書の棚
掲載記事 267件
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映像作家が有名無名さまざまな声を集めて展開する中国通史 加藤徹
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欧米人が書く中国通史は、日本人が書くそれと趣が違う。日本の読者は、故事成語とか三国志とか、それなりに予備知識があり読みたい…
2023年1月13日
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心性史の第一人者が樹木に覚える感性・感情の歴史を記述 本村凌二
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陽光にさらされた地中海沿岸の遺跡を歩いていると、なんとも木陰が欲しくなる。湿度の高い日本ならそれだけでは済まないが、湿度の…
2023年1月6日
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日本の思想家たちを独自発想で紹介する愉快な哲学書 今谷明
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本誌の身上相談欄(「小川仁志の哲学でスッキリ問題解決」)に毎号健筆を振るっておられる哲学者による興味深い啓蒙(けいもう)書…
2022年12月23日
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なぜあの戦争は起きたのか 戦前日本を描く新書2冊で考える 井上寿一
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12月は8月に次いで戦争の記憶を呼び戻す月だろう。1941年12月8日の真珠湾攻撃は、緒戦の勝利にもかかわらず、結局のとこ…
2022年12月16日
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『文藝春秋』より抜き中国関連記事からは日中関係の「変化」より「不変」が見える? 加藤徹
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日本は強大化する中国といかに向き合うべきか。城山英巳『日中百年戦争』(文春新書、1045円)は、その答えを導くため、雑誌『…
2022年12月9日
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「換気」に注目したナイチンゲールの先見性を知る 本村凌二
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毎日、始発場からバス通勤で仕事場に通う私は、座った席の横の窓を開ける。コロナが始まったころから、感染症学者の飛沫(ひまつ)…
2022年12月2日
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邪馬台国は?倭の五王は? 日本古代史の新説次々 今谷明
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日本の古代史は文献が少ないため、主として地下からの発見、すなわち考古史料の発掘によって常に書き換えられる特性がある。200…
2022年11月25日
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サラリーマンが歓迎した「中年教養文化」としての司馬遼太郎 井上寿一
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司馬遼太郎は存命ならば今年99歳、来年、生誕100年を迎える。没後四半世紀を経ても読み継がれている。「国民作家」と呼ぶにふ…
2022年11月18日
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人気作家・余華が激動の清末民初を舞台に、必死に生きる男女を描く 加藤徹
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余華著、飯塚容翻訳の『文城(ウェンチョン) 夢幻の町』(中央公論新社、4400円)は読み応えのある時代小説だ。 20世紀は…
2022年11月11日
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イタリア史家が最新知見を持ち寄って編んだ一冊 本村凌二
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このたび公刊されたイタリア史研究会編『イタリア史のフロンティア』(昭和堂、3850円)では、多数のイタリア史の専門家がそれ…
2022年11月4日
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諸説ある能楽史を分かりやすく論じた新書=今谷明
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前回の書評で顔を出した芸能に、近世武家の式楽であった能楽がある。室町という時代が生んだ卓越した文化として、水墨画と並び称せ…
2022年10月28日
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「軍制改革の推進者」としての山県有朋像を提示=井上寿一
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さきの安倍晋三元首相の国葬における菅義偉前首相の弔辞を直接のきっかけとして、にわかに山県有朋への注目が集まっている。弔辞の…
2022年10月21日
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北京の町並みの今昔や風物、自然の魅力描く歴史エッセー=加藤徹
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江戸研究の大家・三田村鳶魚(えんぎょ)(1870~1952年)の随筆は面白い。読者は、まるで自分が江戸時代を旅行しているか…
2022年10月14日
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西欧中心史観を脱した「世界史」構想にはアジアの史実が不可欠=本村凌二
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しばしば日本人は世界に向けて発信しろと言われる。だが、現実ははなはだ心もとない。海外に出れば、日本語は通用しないし、国際語…
2022年10月7日
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男女問わずに楽しんだ大江戸エンタメ事情を紹介=今谷明
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英国オックスフォード大学出身の歴史家で、お雇い外国人として一高などで教鞭(きょうべん)を執ったジェームズ・マードックは、明…
2022年9月30日
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アジアとの関係再構築に「大東亜」構想の問い直しは必須だ=井上寿一
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日本にとって1945年8月15日に終わった戦争は、どう呼べばよいのか。今も議論が続いている。細谷雄一編著『世界史としての「…
2022年9月23日
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戦時下に中国人の戦争観を分析した77年前の名著が再復刊された=加藤徹
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中国を相手とするビジネスパーソンにとって、例年の今ごろはピリピリする「敏感な季節」だ。7月7日(1937年の日中戦争勃発記…
2022年9月9日
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百年戦争を舞台に活躍した「聖少女」ジャンヌ・ダルクの生涯を描く=本村凌二
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百年戦争という名はよく知られていても、日本人の多くはそれほど関心がないのではないだろうか。14世紀半ばから15世紀半ばまで…
2022年9月2日
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ひなびた寺社の魅力を満載した一風変わった京の案内記=今谷明
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今回は趣向を変えて、歴史の舞台となった土地について、隠れた名所について取り上げよう。柏井壽(かしわいひさし)著『おひとりか…
2022年8月26日
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石原莞爾ら陸軍参謀が戦後社会に受け入れられたのはなぜか=井上寿一
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陸軍参謀7人の戦後の軌跡 戦後日本の再建支えた皮肉=井上寿一 日本の8月は戦争の歴史を振り返る月でもある。なぜ日本は戦争に負…
2022年8月19日
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ネクラ官僚が清朝末期の英雄になる歴史のダイナミズム=加藤徹
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清末の太平天国の乱は世界史上最悪の内戦だった。14年間に及び、死者は推計7000万人以上。岡本隆司『曾国藩 「英雄」と中国…
2022年8月12日
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名著にして入門書、自叙伝付きで新版登場=本村凌二
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連続講演の雰囲気を醸し出す新訳 戦後生まれの第1世代は今や70歳代半ばで団塊の世代ともよばれている。その世代のなかで歴史学を…
2022年7月29日
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江戸幕府の特長は優れた「情報統制」にあり=今谷 明
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情報の取り扱いに長けた江戸幕府の特性に新たな光 江戸幕府八代将軍徳川吉宗が設けた将軍直属の諜報(ちょうほう)組織(密偵)であ…
2022年7月22日
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核政策と戦後知識人の関わりを考える2冊=井上寿一
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非核論と知識人の役割 今こそ再考を 現在の日本における知識人の社会的な地位は、暴落していると言っても過言ではないだろう。今や…
2022年7月15日
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新疆問題を考えるうえで必読の通史=加藤 徹
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ウイグル問題の根源を知る日本語初の「新疆」通史 欧米諸国や亡命ウイグル人は、中国はウイグル人にジェノサイド(特定民族への虐…
2022年7月8日
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現代ロシアの「インテリゲンツィヤ」はどこにいる=本村凌二
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19世紀ロシア帝政下に自由を求めた思想家たちの実像を探求 ソ連からロシアになって30年以上がたった。いくぶんか社会の自由度も…
2022年7月1日
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足利・三好・織田・豊臣と渡り合った宮中女官たち=今谷 明
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宮中日記を縦横に駆使武家と対する女性を研究 女性による日記は、約1000年前、女房文学により始まった。しかし『蜻蛉(かげろ…
2022年6月24日
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100年たっても変わらない理由に正面から答える書=井上寿一
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変わるか変わらないか結党100年の日本共産党日本共産党は今年、結党100年を迎えた。この間にいくつもの社会主義国が生まれては…
2022年6月17日
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現役チベット人作家10人の幻想的な短編13作=加藤 徹
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近現代の激動を生きるチベット人の心象風景を読む チベットというと、中国に対して「高度な自治」を求め続けるダライ・ラマ14世が…
2022年6月10日
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オスマン帝国後宮で何が行われていたか=本村凌二
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最新研究成果と共に描く イスタンブールの旧市街を見下ろす小高い丘の上にトプカプ宮殿がある。15世紀半ば、東地中海に君臨するビ…
2022年6月3日
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実は「平安」でなかった平安時代=今谷 明
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古記録から描く庶民の生活 摂関政治や女房文学など、華美で温和なイメージがある平安時代だが、実は物騒な時代でもあった。花山上皇…
2022年5月27日
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日本に国連憲章を尊重する「熱意」と「覚悟」はあるか=井上寿一
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日本の外交は果たして国連憲章を尊重できるか 今年の3月23日、ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説を行…
2022年5月20日
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日中台で生きた音楽家・江文也。戦争に翻弄された生涯の評伝=加藤 徹
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日中台で生きた音楽家 戦争に翻弄されたその生涯 20世紀は戦争と革命の世紀だった。国境線は何度も変わり、芸術家も政治に翻弄(…
2022年5月13日
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今は消滅した小国にこそ、歴史を動かす核心がある=本村凌二
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滅亡した国家にこそ潜んでいる歴史の核心 歴史はしばしば長く続いた大国を中心にして語られる。ところが、無視されがちな小国の盛衰…
2022年4月29日
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江戸時代、世界トップレベルだった日本の科学者たちの業績を紹介=今谷 明
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医学、地理学、宇宙論… 江戸の科学者は世界水準=今谷明「鎖国」の印象が強烈なためか、近代的な学問はすべて明治以降に成立したと…
2022年4月22日
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ソ連の対日戦、シベリア抑留を検証、加害国として自国史を振り返る=井上寿一
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加害国としての自国史 新たに検証の必要 ロシアのウクライナ侵攻とソ連の対日戦は似ている。4月3日、ウクライナのゼレンスキー大…
2022年4月15日
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長い伝統を持つ儒教も、いまだ「宿題」を抱える未完成の倫理思想=加藤 徹
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倫理思想の完成形にあらず いまだ「宿題」抱える儒教=加藤徹 紀元前6世紀の孔子に始まる儒教は、現代の日本人や中国人の生き方に…
2022年4月8日
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通読できる哲学史が、待望の声に応えてついに復刊=本村凌二
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通読できる哲学史決定版が待望の復刊 哲学とは「要するに、最大限の努力で最小限の成果を上げようと研究する学問だろう」とからかわ…
2022年4月1日
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戦国時代以前の江戸はどんな場所? 知られざる歴史の解説書=今谷 明
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戦国時代以前の江戸はいかなる状況だったのか?=今谷明 江戸(現在の東京23区)の状況に関しては、古くから文献に出てくる。在原…
2022年3月25日
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「戦後」は終わっていない。空襲被害者への無関心を告発する一冊=井上寿一
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大空襲の被害者切り捨て 終わらない日本の「戦後」 戦争の記憶に関連して、8月6日や8月9日、8月15日が何の日かは説明を要し…
2022年3月18日
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中国哲学史の視座から、過去3千年の世界史を読み解く試み=加藤徹
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「人が人になる」とは何か… 古く神もいない中国哲学の地平 哲学は「動詞」である。「名詞」ではない。知を働かせ「何か?」「なぜ…
2022年3月11日
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「国家」という枠組の希薄なウクライナ史を学ぶ=本村凌二
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緊迫状況下にあるウクライナの歴史を学ぶ ウクライナはヨーロッパの東部にあり、ロシアからすれば西方にある「辺境」であった。12…
2022年3月4日
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自然崇拝や仏教の影響…… 神社は複雑な日本史を体現した建造物=今谷 明
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仏教とは性格を異にする神社社殿の形成過程 神社の建物(社殿)の沿革には謎が多い。現存する日本最古の社殿は一応、京都府の宇治上…
2022年2月25日
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韓国の自信が生んだ一時の平穏 関係悪化した日本への提言=井上寿一
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木村幹『韓国愛憎』(中公新書、946円)は、早すぎる自叙伝の形式を通して、1980年代末からの約30年間における日韓関係史…
2022年2月18日
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北京五輪の今年こそ読みたい。スポーツの視点で見る東アジア史=加藤 徹
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五輪開催年こそ読みたい 政治に翻弄された歴史 本来、スポーツは政治から自由であるべきだ。が、現実には国際大会は、生々しい政治…
2022年2月11日
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キリスト教の「正統と異端」の秘密を解き明かす古代文書群を読む=本村凌二
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異端の人々の思想を明かす「ナグ・ハマディ文書抄」 日本のキリスト教徒は人口の1%にも満たない。西洋世界のキリスト教には「正統…
2022年2月4日
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日本刀の高品質を裏付ける製鉄の歴史が今、明らかに=今谷明
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謎だった日本の製鉄史 遺跡発掘で見えた全貌=今谷明 以前、本欄で鑑賞用の見地から刀剣の本(本間順治著『日本刀』(岩波新書限定…
2022年1月28日
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列島改造、管理社会、アジア 1970年代に学ぶ=井上寿一
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今から半世紀前の1972年の日本では連合赤軍のあさま山荘事件、第1次田中(角栄)内閣の成立、日中国交正常化などのさまざまな…
2022年1月21日
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豊富な写真で全土の「抗日」テーマパークを紹介する奇書=加藤 徹
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「抗日」施設を徹底紹介 中国の歴史認識知る“奇書”=加藤徹 関上武司『中国抗日博物館大図鑑全土35施設潜入取材』(パブリブ、…
2022年1月14日
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内戦終結後も加筆。碩学によるユーゴ現代史、四半世紀ぶり全面改訂=本村凌二
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欧州変革に煽られたユーゴ 「実験国」の模索は続く ユーゴスラヴィアはなんとも遠く感じる。もともと「南スラヴ」を意味するらしい…
2022年1月7日