アートな時間
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病みつつ前向きに生きる女性 韓国映画が描く社会の歪みを直視せよ 寺脇研
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映画 ビニールハウス 現在の日本と韓国は、さまざまな社会問題が酷似している。少子化は韓国、高齢化は日本が先行するなど速度の違…
2024年3月1日
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S・ホームズ×段田安則 期待のタッグで観る王国の悲劇 濱田元子
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舞台 パルコ・プロデュース「リア王」 ヒトゴロシイロイロ──。英国を代表する文豪、ウィリアム・シェイクスピアの生年と没年の、…
2024年3月1日
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日本屈指の若手俳優勢の演技で、耐え難い孤独と助ける温かさ描く 野島孝一
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映画 52ヘルツのクジラたち クジラの鳴き声は、通常10~39ヘルツの高さらしい。52ヘルツの鳴き声は、音域が高すぎてほかの…
2024年2月23日
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デビューの瞬間の美しさを、各部門で体感できる貴重な機会到来 梅津時比古
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クラシック 第92回日本音楽コンクール 受賞者発表演奏会 デビューの時は常に美しい。演奏家はその一瞬、初めて他者の世界に開か…
2024年2月23日
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濃密な“血湧き肉躍る武者修行”を恐れを知らぬ冒険精神で映画化 芝山幹郎
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映画 哀れなるものたち 堪能した。肉や野菜に絡んだソースの味が絶妙で、パンで皿を拭き取りたくなるような衝動さえ覚える。「哀れ…
2024年2月9日
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父の背を見ながら成長した勘九郎と七之助による追善公演 小玉祥子
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舞台 十八世中村勘三郎十三回忌追善 猿若祭二月大歌舞伎 籠釣瓶花街酔醒 歌舞伎座では十八世中村勘三郎「十三回忌追善」の「猿若…
2024年2月9日
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予想不可能、理解不能、茫然自失 悪夢的出来事が続く怒濤の3時間 勝田友巳
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映画 ボーはおそれている 開いた口がふさがらない。比喩ではなくて文字通り。「ヘレディタリー 継承」「ミッドサマー」でモダンホ…
2024年2月2日
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改めて“美の巨人”光悦の粗探し それでも宗達とのコラボはぴか一だ 石川健次
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美術 特別展「本阿弥光悦の大宇宙」 群れを成して舞い飛ぶ鶴と、糸のように細く、あるいはその何倍もあろうかと思うほど太い筆線で…
2024年2月2日
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伊藤野枝の短くも数奇な生涯を描いたNHK-BSドラマの再編集版 寺脇研
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映画 風よ あらしよ 劇場版 伊藤野枝という名前に見覚え聞き覚えはあっても、その数奇な人生を詳しく知る人は少ないだろう。それ…
2024年1月26日
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スイスでの初演から84年 一兵卒から見た集団のゆがみを緊迫感ある展開で描く 濱田元子
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舞台 オフィスコットーネ「兵卒タナカ」 今年は日本の新劇の原点ともいえる「築地小劇場」が創設されて100年の節目である。自前…
2024年1月26日
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理解や同情を求めることなく弱者を淡々と描く三宅唱作品 野島孝一
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映画 夜明けのすべて「夜明けのすべて」は、2022年の映画賞を独占した「ケイコ 目を澄ませて」に続く三宅唱監督の作品だ。「ケ…
2024年1月12日
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「知性」の音楽と日仏交流 記念コンサート&シンポジウム開催 梅津時比古
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クラシック 日仏文化交流に尽力した作曲家たちフランス音楽の夕べ・日仏会館創立百周年記念シンポジウム「日仏芸術交流の100年」…
2024年1月12日
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株式市場の集合的無意識を図太い笑いと渋い芸で描く 芝山幹郎
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映画 ダム・マネー ウォール街を狙え! ポール・ダノの芝居に脂が乗ってきた。もともと巧(うま)い人だったが、新作「ダム・マネ…
2023年12月29日
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墓参に秘めた侍の意地と矜持 忠臣蔵の講談種を歌舞伎化した新作の再演 小玉祥子
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舞台 壽 初春大歌舞伎 赤穂義士外伝の内 荒川十太夫 赤穂義士が主君である赤穂藩の大名・浅野内匠頭(たくみのかみ)の敵として…
2023年12月29日
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足るを知り木漏れ日を撮る カンヌ国際映画祭男優賞受賞作 勝田知巳
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映画 PERFECT DAYS ヴィム・ヴェンダース監督の映画は、しばしば迷える中年男が主人公だ。「パリ、テキサス」「パレル…
2023年12月15日
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西洋絵画の大前提を覆すキュビスムの広範な歴史を一堂に 石川健次
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美術 パリ ポンピドゥーセンターキュビスム展─美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ 20世紀初頭、ベル・エ…
2023年12月15日
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なぜ市子は突然失踪したのか? 社会の闇を凝縮した人間ドラマ 寺脇研
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映画 市子 市子という名の女性が、突然失踪する。前日に同棲(どうせい)相手の青年から結婚しよう、と言われ、頬を染めて喜んでい…
2023年12月8日
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3世代にわたるマイノリティーの闘いを描く前後篇6時間半の大叙事詩 濱田元子
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舞台 東京芸術劇場「インヘリタンス─継承─」 テレビ中継で見ていた2020年米トニー賞の授賞式。「The Inheritan…
2023年12月8日
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カメラ11台で歴史超大作「ナポレオン」 健在なりリドリー・スコット監督 野島孝一
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映画 ナポレオン 80歳代後半を迎えたリドリー・スコット監督だが、まだまだ盛ん。このごろでは、さっぱり見かけなくなった歴史映…
2023年11月24日
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上野の森の音の饗宴が20周年 想像力引き出す新演出も 梅津時比古
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クラシック 東京・春・音楽祭2024 東京・上野の「東京・春・音楽祭2024」に世界各地の演奏家が来る。このほど発表された概…
2023年11月24日
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仁左衛門が東京で21年ぶりに風流人にして忠義の人を演じる 小玉祥子
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舞台 吉例顔見世大歌舞伎 松浦の太鼓 片岡仁左衛門が、歌舞伎座の「吉例顔見世大歌舞伎」夜の部で、秀山十種(中村吉右衛門家のお…
2023年11月10日
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皮肉な題名が示す実態 獣と獣の衝突が生々しい 芝山幹郎
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映画 理想郷 気ぜわしい都会の生活に倦(う)んだ中年の夫婦が、新天地を求めて過疎地へ転居し、農業をはじめる。その夫婦に、地元…
2023年11月10日
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彩り豊かな花で色彩を探求したゴッホが結実させた圧倒的な存在感 石川健次
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美術 ゴッホと静物画──伝統から革新へ オランダに生まれ、「フランス絵画に切実な憧れ」(本展図録より、以下同じ)を抱いたフィ…
2023年11月3日
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戦後史と共にあるゴジラ 初代へのオマージュと最新CGで70年目の新作爆誕 勝田友巳
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映画 ゴジラ-1.0 ゴジラ第1作(1954年)から70年、これほど長寿なのは、ゴジラが時代を託される存在だからだろう。終戦…
2023年11月3日
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ほとんどが夜と雨の場面 実力派俳優二人の会話で“失われた20年”を描く 寺脇研
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映画 花腐し タイトルは「はなくたし」と読む。出典は万葉集で、「晩春に美しく咲く卯(うつぎ)の花をも腐らせてしまう、その時期…
2023年10月27日
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田中角栄没後30年 緻密な会話で栄枯盛衰紡ぐ 濱田元子
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舞台 JACROW「闇の将軍 四部作」 政治家・田中角栄が亡くなって、この12月で30年になる。日本列島改造論をぶち上げ、首…
2023年10月27日
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政治家生命か孫娘の命か 緊迫の誘拐事件と記者会見がサスペンスフルに進行する娯楽映画 野島孝一
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映画 おまえの罪を自白しろ 社会派ミステリー作家・真保裕一の小説を水田伸生監督で映画化した。 保守政治家一家の宇田家。内閣府…
2023年10月20日
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ウィーン&ベルリン・フィルが相次ぎ来日 至福の11月 梅津時比古
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クラシック ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2023/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ウィーン・フ…
2023年10月20日
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35年間のおぞましい監禁と外界を吸収する原初的無意識 芝山幹郎
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映画 悪い子バビー 狭くて不潔で乱雑な部屋の内部から、映画は始まる。目鼻立ちの整った全裸の男が、太った女に髭(ひげ)を剃(そ…
2023年10月13日
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初代国立劇場さよなら公演は大化の改新を背景にした愛憎劇 小玉祥子
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舞台 通し狂言 妹背山婦女庭訓 第二部 老朽化による建て替えのため、10月いっぱいで幕を閉じる初代国立劇場(1966年開場)…
2023年10月13日
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江戸から引き継いだ超絶技巧の明治工芸に連なる17人 “信じられない鍛錬”の結実 石川健次
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美術 超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA 驚嘆、感嘆の連続だ。福田亨の《吸水》は、3頭のアゲハチョウが水を飲んでいる。…
2023年9月29日
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圧巻の長回し17分 混沌に満ちたアンチカタルシス映画 勝田友巳
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映画 ヨーロッパ新世紀 ルーマニア・トランシルバニア地方の小村で数年前に起きた、スリランカ人追放事件を元にした映画だ。クリス…
2023年9月29日
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南北コリア刑事コンビの痛快アクション 続編はFBIも登場 寺脇研
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映画 コンフィデンシャル 国際共助捜査 いまだに休戦状態で厳密には戦争継続中の韓国と北朝鮮だが、1998年にキム・デジュン大…
2023年9月22日
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アガサ・クリスティーの人気戯曲を新訳・新演出で 濱田元子
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舞台 俳優座劇場プロデュース「検察側の証人」 物語の最後の一瞬まで目が離せない──。「検察側の証人」は、法廷サスペンスの傑作…
2023年9月22日
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主婦がリチャード三世の遺骨を発見するまでの実話がベースのファンタジー 野島孝一
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映画 ロスト・キング 500年越しの運命 リチャード三世といえば、シェイクスピア劇で有名なイングランド国王。1485年の死去…
2023年9月8日
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上野と横浜でローマの息吹《椿姫》《トスカ》を味わう 梅津時比古
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クラシック ローマ歌劇場 2023年日本公演 ミラノ・スカラ座やウィーン国立歌劇場はもちろん素晴らしい。しかし、それはいわば…
2023年9月8日
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イラン政府に製作を禁じられたパナヒ監督が国境の村でつむいだ困難な戦いの物語 芝山幹郎
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映画 熊は、いない ジャファル・パナヒが、ジャファル・パナヒの役を演じている。パナヒは、イランの映画監督だ。1960年に生ま…
2023年9月1日
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三つ子の兄弟に起きた悲劇 播磨屋一門の父、長男、次男で演じる 小玉祥子
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舞台 秀山祭九月大歌舞伎 菅原伝授手習鑑 車引 歌舞伎座では二世中村吉右衛門の「三回忌追善」として、ゆかりの演目が揃(そろ)…
2023年9月1日
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体感せよ!実物大セットで撮られたストップモーションアニメ 勝田友巳
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映画 オオカミの家 動く絵=アニメーションは映画の原点だ。映画草創期にも、こんな具合で作られていた。黒板の前にカメラを据え、…
2023年8月25日
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光をテーマに厳選120点 モネ、ターナー、リヒター――ビッグネーム勢ぞろい 石川健次
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美術 テート美術館展 光――ターナー、印象派から現代へ 図版の作品に見覚えがある人は少なくないだろう。フランス印象派の巨匠、…
2023年8月25日
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尾道舞台の人情喜劇 ただし主演は82歳 裏テーマは原爆 寺脇研
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映画 高野(たかの)豆腐店の春 黙々と豆腐を作り続ける頑固じいさんが主人公だ。「出戻り」の一人娘と営む豆腐屋を中心に、人間味…
2023年8月18日
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世界的“演劇の聖地”利賀から発信する気鋭プログラム 濱田元子
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舞台 SCOT サマー・シーズン2023 地方創生が叫ばれて久しい。今年、文化庁の機能の一部が京都に移転したが、政治・経済・…
2023年8月18日
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身体能力と演技力で奏でる傑出したボクシング映画の誕生 野島孝一
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映画 春に散る 私は常々「潜水艦映画とボクシング映画に、はずれなし」と言っている。潜水艦は内部が狭く、逃げ場のない恐怖心が映…
2023年8月4日
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未来の大器に心躍る季節 日本最高峰のコンクールがスタート 梅津時比古
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クラシック 第92回日本音楽コンクール 酷暑が日本を覆っている。部屋にいても熱中症になりそうな状況のなかで、コンクールを受け…
2023年8月4日
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吹きさらしの空間に怯まない猫 風通しのよいドキュメンタリー 芝山幹郎
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映画 猫と、とうさん 古くは「ハリーとトント」(1974年)があった。最近ではイスタンブールの裏通りで撮られたドキュメンタリ…
2023年7月28日
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青果の新歌舞伎 侠客2人が交わす圧巻の長台詞 小玉祥子
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舞台 八月納涼歌舞伎 新門辰五郎 幕末の京都を舞台にした真山青果作の新歌舞伎「新門辰五郎」(織田紘二演出)が歌舞伎座の「八月…
2023年7月28日
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AI相手に体をはるイーサン・ハント 今回はバイクで断崖から大ジャンプ 勝田友巳
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映画 ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE トム・クルーズがスパイ組織IMF(不可能作戦部隊)のエ…
2023年7月21日
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生々しい肉体の薄気味悪さを描き大正画壇を席巻 映画界では衣装デザインで活躍 石川健次
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美術 甲斐荘楠音の全貌 絵画、演劇、映画を越境する個性 ギョッとした人は少なくないだろう。図版の作品に、だ。異様、薄気味悪い…
2023年7月21日
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就職氷河期世代の孤立した女性 内面の変化と回復途上を追う意欲作 寺脇研
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映画 658km、陽子の旅 カーテンを閉め切り昼でも暗い部屋で、女が一人パソコン画面に向かっている。様子を凝視していくと、ど…
2023年7月7日
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現実と妄想が舞台上で混然一体 不条理全開の野田秀樹ワールド 濱田元子
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舞台 NODA・MAP第26回公演「兎、波を走る」 躍動する身体や奇想な言葉遊び、飛躍するイメージを駆使して、予測もつかない…
2023年7月7日